とめる勇気を!
より安心・安全な造影CT検査を目指して

〜圧力遷移グラフが語る血管外漏出〜

とめる勇気を!より安心・安全な造影CT検査を目指して
とめる勇気を!より安心・安全な造影CT検査を目指して

社会医療法人誠光会 草津総合病院

〒525-8585 滋賀県草津市矢橋町1660
TEL:077-563-8866(代)
病床数:719床
診療科:総合内科/消化器内科/循環器内科/小児科/心臓血管外科/産婦人科/乳腺外科/皮膚科/形成外科/放射線診療センター(画像診断部・放射線治療部)他 CT 2台、MRI 2台、血管撮影装置2台。放射線科医師4名(うち1名は治療医)、診療放射線技師28名、看護師7名、医療事務4名


造影CT検査はダイナミック撮影で
豊富な情報量を

草津総合病院から望める琵琶湖
図1 草津総合病院から望める琵琶湖

 2006年4月に琵琶湖の近くへ新築移転してきた同施設(図1)。320床であった病床数も700床以上を有する規模まで拡大し、自然豊かな環境で地域に密着した中核病院としての役割を果たしている。「昨年までは放射線診療センターに専属の看護師がおらず、救急医療センターの看護師が兼任する形で業務を行ってきました。しかしその後、放射線治療にはじまり現在では7名の看護師が当センター専属で配属され、造影CT検査や放射線治療だけでなく核医学や血管造影などのさまざまなシーンで協力し、日々の検査を行っています」と、語ったのは岡田裕貴氏(社会医療法人誠光会草津総合病院放射線診療センター放射線技術部係長)。

 64列CTを2台有しているが、2室あるCT室は当センター内と救急医療センター内にあり、少しではあるが離れて位置する。救急医療センター内にあるCTでも救急患者以外の一般CT検査も行ってはいるが、当センター内にあるCTで、大部分の造影検査を主とするさまざまな検査を担う。

 岡田氏は、「当センター内のCT室は、読影室が近いので放射線科医が常に近くにいる環境で検査を行えますし、一般撮影などを担当する診療放射線技師も隣にいるので、何かあった場合もすぐに対応できるので安心して検査を行えます」と説明し、緊急時も想定した体制であることがうかがえる。

 ひと月のCT検査数は約1,800件で、うち造影CT検査は約2割。造影CT検査の多くはダイナミック撮影を行い、動脈相と平衡相を撮影することでより多くの情報を含む画像を提供している。生理食塩液での後押しをするCTAは月に80件ほどあり、「生理食塩液を大容量のシリンジで備えられるバイエルのインジェクターは便利ですね」と同氏はいう。

圧力遷移グラフを記録に残すことの大切さ

 約2年前にCT装置1台を、4列CTから現在の64列CTへ入れ替えたタイミングにあわせて、インジェクターも「Stellant Certegra Workstation」へと更新。同インジェクターを選んだ理由について同氏はこう語る。「インジェクターに求めることは、ストレス無く普通に使えることです。当直帯にのみCTのインジェクターを使用するスタッフもいるので、①従来から使用していた同一メーカであること、②MRIや血管造影でもバイエル社製のインジェクターを使用していること、以上より操作性が似ているバイエル社製の新しいタイプのインジェクターが望ましいと考えました。またメンテナンスの手間や費用を考えても同一メーカである方が良いですよね」。

 さらに、圧力遷移グラフがDICOMデータとしてPACSに残せるという点に大きな魅力を感じ、Certegra Work stationを導入した。圧力遷移グラフから得られる情報は非常に多く、造影CT検査時には前回検査時の画像とともにこの圧力遷移グラフを確認する。

 撮影条件(回転速度やヘリカルピッチなど)だけでなく、注入速度、注入量などの詳細な情報をこの圧力遷移グラフから得ることで、より再現性の高い検査を実現する。

 特に、CTAなど造影剤の注入条件と撮影タイミングがシビアに求められる検査では、これらの情報の有用性は高い。また再現性を高めるだけでなく、前回検査で造影が不良だった場合には、これらの情報をもとにより良い画像を得るための条件の設定が可能となる。さらに、腎機能低下のため造影剤を減量する必要のある患者さんの場合、主治医や放射線科医と相談して決定した注入量を以前はカルテに記載していたが、圧力遷移グラフとして記録されるため、入力ミスや手間を省くことができる。「画面ひとつでさまざまな情報を残し、共有できるのはとても魅力的です」と同氏は述べる。

 また、スタッフ間で圧力遷移グラフを共有することで、より安全な造影検査を行える力を養うことにもつながっている。「血管外漏出がみられたときの圧力遷移グラフを共有し、新人の教育にも活かしています(図2)。異常波形を予め認識してもしものときに注入をストップできることが大切だと思いますので」と同氏は語り、「使える情報は使うべきですし、圧力遷移グラフを信じられなければいけません。注入を止める勇気も必要ですよね」とより安全で確実な造影CT検査のための同氏の思いが感じられ、圧力遷移グラフが役立っていることがうかがえる。

典型的な血管外漏出時の圧力遷移グラフ
図2 典型的な血管外漏出時の圧力遷移グラフ
基本的に圧力遷移グラフの変化を認めた場合には、注入を中止している。また血管外漏出が起きた場合でも、圧力遷移グラフに変化が生じないケースもある。そのため穿刺部位を手で触り、直接漏れがないことを確認することも大切と考えている。

院内の情報ネットワークの仕組み図3

院内の情報ネットワークの仕組み
図3 院内の情報ネットワークの仕組み

 「Study UIDでデータはまとめています。RISから発番されるStudy UIDを使用してCT画像と圧力遷移グラフの紐づけをしていますが、データを送信するタイミングによってPACS上のデータベースへの登録内容が異なります。そのため24時間後に圧力遷移グラフがPACSに転送されるように設定しています。3D作成などの処理に時間がかかることもありますが、24時間後であればそのような画像もPACSに送信済みであるからです」と、データフローについて説明して頂いた。読影時には圧力遷移グラフが転送されていないこともあるため、造影時に注入速度を落としたなどの特記事項はRISレポートでコメントとして残すことにしている。この点については今後の検討課題と考えているという。

職人の感覚をいかせる機能がお気に入り

 同インジェクターはオート機能を有する一方で、大事なところは手動で行えるのも魅力。「ノブを回し、手動で注入したり、引いたりできるところがお気に入りです(図4)。ノブを回したときの重さが大事で、留置針が曲がっていたりすると重たくて少し返しがある感じ。抵抗を感じるんです。また、血管に触れて、皮膚上から血管の中を流れていく感じで、注入可能な速度も予測できます。実際の検査時には看護師さんが行うので、新しく配属された看護師さんにはこの感覚を分かってもらえるようにお願いしています。簡単にできる部分はオートで、でも大事なところは手動で行え、両方を兼ね備えているのがこのインジェクターです。あとは故障なども少なく、安全にいつでも検査できる点は当たり前かもしれませんが大事なことですし、いいポイントです」。プロトコールはあまり登録しておらず、患者個々に合わせて入力、検査を行っている。CTAなどは体重当たりのヨード量を表から決定(表1)。「これがアプリケーション上でできるようになれば便利かもしれないですね。腹部造影のような造影剤使用量が多い注入条件(400mgI/kg以上)ではできますので」とこれからのバージョンアップにも期待したい。

下肢CTA
表1 下肢CTA
下肢CTA テスト3.5秒、
CTA15秒注入速度:体重×0.06
血管の中の流れを感じるためにはこのノブが重要な役割を果たす
血管の中の流れを感じるためにはこのノブが重要な役割を果たす
図4 血管の中の流れを感じるためにはこのノブが重要な役割を果たす
シリンジ加温器:シリンジに装着し、注入直前まで造影剤を保温することができる
シリンジ加温器:シリンジに装着し、注入直前まで造影剤を保温することができる

岡田裕貴氏

岡田裕貴氏

放射線診療センター
放射線技術部係長

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