MEDRAD® Centargo
CT Injection System
業務負担軽減と迅速診療を両立するCentargo
佐賀県医療センター好生館
24時間体制でCentargo CTインジェクションシステム(バイエル薬品社製)を運用している佐賀県医療センター好生館の使用経験について、織田信一郎先生、三井宏太先生、宮﨑章博先生にインタビューした。
看護師負担を減らす選択
Centargoの導入に際して、従来のシリンジ製剤を使用するインジェクタは、医療廃棄物が非常に多いと感じていたが、使い慣れていることや、新しいインジェクタの注入精度、運用の手間などを考えると、スタッフに受け入れられるかという不安もあった。
しかし、Centargoをデモ(試用)で使用した際、その印象は良い意味で期待を裏切るものだった。ワークフローの面でも、診療放射線技師(技師)が煩雑な作業を行う必要もなく、造影剤の種類やルートのセッティングに関する看護師とのコミュニケーションミスも減少した。また、何よりもシリンジ製剤や生食の準備作業に負担を感じていた看護師から「楽になる」と好意的な声が聞かれた。このような準備業務の負担軽減が、導入を決断する最大の決め手となった(図1)。
実際に館内の「働き方改革委員会」では、放射線部の業務負担軽減効果の一例として「Centargoによる看護師業務のタスクシフト/シェア」を報告している。
図1
造影検査業務の役割分担表
血管外漏出が減少傾向に
Centargo導入前から、造影剤の血管外漏出防止は当館における重要な課題の一つであり、Centargoの「生食を用いたテスト注入機能」に期待していた。
導入後は、ルート確保時に逆血を確認したうえでロックし、そのままCT室へ入室する。本検査前に20mLの生食を本番と同じ注入速度で投与することで、ルートの安全性を確認している。
導入後(ʼ25年10月~ʼ26年6月)の血管外漏出発生件数は、導入前と比較して減少傾向を示している。現時点では注入条件などを含めた詳細な検証には至っていないものの、Centargoは安全性の面でも看護師から高い評価を得ている。
スタッフのコスト意識向上にも貢献
近年は、低体重患者や腎機能低下患者、低管電圧撮影など、従来のシリンジ造影剤の規格が現場のニーズに合わない検査が増加している。当館ではシリンジ製剤の規格をある程度揃えているものの、こうした検査では半数以上で造影剤がシリンジ内に残存し、再利用できないまま廃棄されていた。
一方、Centargoでは同時注入機能を活用することで、造影剤と生食を柔軟に組み合わせて投与できるため、患者ごとに必要量を細かく調整でき、造影剤の廃棄量削減につながっている(図2)。
さらに、残量が少なくなってくると、スタッフ自身が次に予定されている患者の体重や投与量を考慮しながら運用するようになり、造影剤の無駄を最小限に抑える工夫が自然と行われるようになった。その結果、コスト削減に加え、スタッフのコスト意識や資源管理への意識も高まり、これもCentargo導入による大きなメリットの一つとなっている。
図2
90日間におけるCentargo使用時の造影剤廃棄量(実測値)と、同一データを用いたプレフィルドシリンジ製剤を使用した場合の造影剤廃棄量(シミュレーション値)の比較
Centargoにおける廃棄量は、使用したバイアル総量から実際の使用量を差し引いて算出し、シリンジ製剤の廃棄量は、各症例に対して使用可能な規格のうち最適な規格を選択したと仮定して算出。
【結果】造影剤廃棄量の削減効果:廃棄量/造影剤の総量(%)
・Centargo:平均5%
・シングルインジェクタ:平均26%
20検査/日とすると、シングルインジェクタは100mLシリンジ換算で5本分を廃棄していることになる(200日だと1,000本分)。
夜間救急の緊急造影もスムーズに
当館では、Centargoの稼働効率を最大限に高めるため、時間外の救急患者にも対応できる24時間体制で運用している。
さらに効率的な運用を目的として、日勤終了時の17時15分にデイセットを交換し、そのままハイブリッドERシステムへ移動させている。この運用により、夜勤帯のスタッフは特別な準備や設定変更を意識することなく、いつでもCentargoを使用できる環境が整えられている(図3)。
また、Centargo本体のモニターは専用台車に設置し、検査場所への移動を容易にする工夫も行っている(図4)。
救急患者は重症例が多く、まず単純CTを撮影した後に、造影検査の必要性を判断するケースが少なくない。例えば、単純CTで出血が疑われ、追加で造影CTが必要になった場合には、通常であれば造影剤や生食の準備が必要となる。さらに、夜勤帯のスタッフが造影CTの準備に不慣れな場合には、検査開始までに時間を要し、診療の遅れにつながる可能性もある。
一方、Centargoではシステムがあらかじめ準備されているため、患者ラインを接続するだけで造影検査を開始できる。造影剤や生食の準備にかかる手間を大幅に削減できることから、迅速な対応が求められる救急診療において、その有用性を強く実感している。
図3
24時間運用(デイセットの交換タイミング)
図4
モニター専用台車
高い汎用性とコスト削減効果
Centargoの特長を活かすため、当館ではDPC患者、救急患者、ルート確保が困難な症例、CTA検査を優先的な適応として運用している(図5)。
このように適応を明確化することで、検査準備や造影剤管理の効率化を図っている。
また、造影剤をシリンジ製剤からバイアル製剤へ変更することで薬剤コストを削減でき、さらに関連物品の使用量も減少した結果、当初の想定を上回るコスト削減効果が得られている。
(2026年6月19日取材)
図5
インジェクタ選択基準を示すポスター(実寸はA4サイズ)
佐賀県医療センター好生館
指定管理医療機器:多相電動式造影剤注入装置
販売名:Centargo CTインジェクションシステム
認証番号:302AABZX00091000
製造販売元:バイエル薬品株式会社
管理医療機器:造影剤用輸液セット
販売名:Centargo ディスポーザブルセット
認証番号:303AABZX00003000
製造販売元:バイエル薬品株式会社