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大腸癌肝転移に対する術前化学療法後の肝転移病変の消失に関連する報告
大腸癌肝転移に対する術前化学療法では,多くの症例で腫瘍の縮小を認め,同時に,CT画像上で消失する(検出不能となる)肝転移病変(disappearing liver metastases:DLM)が存在し,5~38%と報告されている.画像診断によるCR(完全完解)は画質等に左右されるためpCR(病理学的完全完解)との一致度は20~100%と報告されており,両者は同等ではない.
Taniらは,EOB-MRI(EOB・プリモビスト造影MRI)と術中超音波(CE-IOUS)による,大腸癌肝転移に対する術前化学療法後のDLMの検出能に関する比較検討を行った1).その結果,CE-IOUSによるDLMの正診率は0.68であったのに対し,EOB-MRIでは0.88と報告されている.また,本研究では,CE-IOUS及びEOB-MRIのDLM検出/ 非検出による臨床的アウトカム(切除DLMにおける遺残病変の有無,経過観察中の非切除DLMの再増大の有無等)の評価が行われている.DLMの遺残病変・腫瘍再増大におけるCE-IOUS及びEOB-MRIによる診断能の結果として,CE-IOUSでは陽性尤度比/陰性尤度比2.03/0.45に対し,EOB-MRIでは6.84/0.12と高い検出能を有する可能性が示唆されている.本研究の結果に基づくTaniらによるDLMに対する治療アルゴリズムを図1に示す.
図1. DLMに対する治療アルゴリズム1)
※カッコ内の数値は,本試験の結果を治療アルゴリズムに当て嵌めた場合の “遺残病変・腫瘍再増大が占める割合” を示す .
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EOB-MRI による治療方針の変更に関連する報告
①大腸癌肝転移
Sofueら(2014)は,大腸癌肝転移検出における造影CTと,造影CT+EOB-MRI併用間での診断能の比較,及び造影CTにEOB-MRIを併用することでの初期治療計画に対する変更について評価を実施した13).本研究では組織学的に肝転移と確認された39例(85病変)が対象とされ,その結果,造影CT単独群と比べ,造影CTにEOB-MRIを併用した群では,大腸癌肝転移検出における感度(91.0% vs. 79.2%),Az値(0.929 vs. 0.853)が有意に高い結果を示した.
また39例中13例において外科的治療の変更が認められた(図21).
図21. 参考情報:EOB-MRIの併用による術式変更13)
②膵癌肝転移
Itoら(2017)は,造影CT及び超音波検査により切除可能と診断された後,EOB-MRIが施行され,さらに開腹手術が実施された膵癌患者201例を対象に,EOB-MRIの肝転移診断における有用性を検討した18).その結果,EOB-MRIにて肝転移の可能性ありと診断された37病変(17例)が認められ,最終診断により肝転移と診断されたのは31病変(12例)であり,残りの6病変(5例)は良性腫瘍(血管腫3病変,膿瘍3病変)と診断された.これによりEOB-MRIによる膵癌肝転移の検出能は,感度77.5%,特異度94.7%,正診率90.2%,陽性的中率83.8%,陰性的中率92.3%という結果であった.
膵癌は診断時に肝転移をはじめとする遠隔転移のため治癒切除不能であることが多く,遠隔転移が確認されれば手術は適応とならないが,現在標準的に用いられている高解像度MDCTでも,潜在する微小肝転移を見逃す可能性があり,不要な手術を避けるためには肝転移をより精度の高い方法で術前に検出することが重要であると考察された.