画像診断クイズ

画像診断クイズ

第85回 画像診断クイズ(膀胱)

正解

正解は選択肢3,4
 

画像所見

膀胱右側壁にT1WIおよびT2WIで筋層と比較して高信号となる境界明瞭な腫瘤性病変が見られる。DWIで腫瘤に拡散制限を認める。

Gdによるdynamic studyでは病変に比較的均一な早期濃染を認める。腫瘤の近傍には拡張した血管を認める。
 

診断

膀胱のparaganglioma
 

臨床

全膀胱腫瘍の0.06%でのまれな腫瘍であるが、55~91%のものが機能性のものと報告されている1)。また、大半のものは良性であるが、10-26%のもので転移が見られる2)

機能性のものの症状としては排尿時の高血圧や失神が特徴とされているが、カテコラミンの過剰分泌の症状がある患者は30%程で、バイオプシー前に診断されるものは約34%程と報告されている。粘膜下腫瘍であり、13%が再発するとされている3)

注意点として生検前や術前にhypertensive crisisの予防目的でα遮断薬による術前処置が必要である4)
 

画像診断

画像検査としてはエコー、CT, MRIが通常行われる。131I-MIBGシンチグラフィーは感度・特異度ともに高いと報告されている5)

CTの感度は約91%と報告されており、境界明瞭な類円形腫瘤として描出される。内部は均一な高吸収で、dynamic studyでは動脈相で早期濃染する。また、大きい腫瘍では腫瘤の周囲に拡張した血管が見られる。石灰化は10%の症例で見られ、内部の変性・壊死は稀と報告されている1)

MRI はCTよりも感度が高く、膀胱壁内の局在も同定できる。通常はT1WIおよびT2WIで筋層よりも高信号であり、DWIで拡散が制限される。

術後再発は約15%で稀ではなく、術後もMRIによるfollow upが必要となる1)
 

  1. Withey, S.J., et al., Bladder paragangliomas: a pictorial review. Abdom Radiol (NY), 2022. 47(4): p. 1414-1424.
  2. Perez Baron, L., et al., Bladder paraganglioma: Case report and review of the literature. Radiol Case Rep, 2024. 19(1): p. 213-217.
  3. Yu, K., et al., Presentation, Management, and Outcomes of Urinary Bladder Paraganglioma: Results From a Multicenter Study. J Clin Endocrinol Metab, 2022. 107(10): p. 2811-2821.
  4. 一川, 貴. and 豊. 菊森, 褐色細胞腫の周術期管理update-内分泌外科の立場から. 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌, 2022. 39(2): p. 116-121.
  5. Lee, K.Y., et al., Extra-adrenal paragangliomas of the body: imaging features. AJR Am J Roentgenol, 2006. 187(2): p. 492-504.