画像診断クイズ

画像診断クイズ

第70回 画像診断クイズ(臍部)

正解

正解は選択肢3 Sister Mary Josephʼs nodule
 

画像所見

子宮全摘術後16ヶ月時に撮影した造影CTで臍部に造影効果を伴う約30x25mm大の腫瘤を認め、腹壁に浸潤が疑われた。この所見は前回撮影時(術後10ヶ月)には認めなかった。造影CTで局所再発や臍部以外に転移を示唆する所見は認めなかった。FDG-PET/CT でも臍部のみFDGの異常集積が見られた。
 

経過

臍転移が疑われ皮膚生検が施行された。扁平上皮癌の診断となった。子宮全摘術時の標本と比較され、同様の所見である事が確認された。
 

解説

悪性腫瘍の皮膚転移は5-9%程度とされるが、その中でも臍転移は稀である。内臓癌の臍転移はSister Mary Josephʼs nodule(以下、SMJN)と呼ばれる。予後不良の兆候として知られ、指摘されてから平均生存期間が11ヶ月と短い。転移形式は解明されておらず、リンパ行性、血行性、直接浸潤など色々な説が存在する。 原発巣として女性では卵巣が34%と多く、胃以外の消化管(12%),子宮体部(12%),胃(9%)と続く。今回の症例のように子宮頸部が原発巣である頻度は5%とSMJNの中でも頻度が低い。
 

参考文献

Dubreuil A, et al. Umbilical metastasis or Sister Mary Josephʼs nodule. International Journal of Dermatology. 1998;37:7-13

出題者からのコメント

Dubreuil 等によるとSMJNが原発巣診断前の唯一の所見であった症例が26%あり、臍部腫瘤を認めた際はSMJNも鑑別に挙げる必要がある。