画像診断クイズ

画像診断クイズ

第66回 画像診断クイズ(胸部)

正解

正解は選択肢4 抗凝固療法中の患者に発症することが多い
 

解説

診断は胸膜外血腫である。

胸膜外血腫は,胸壁胸膜と胸内筋膜の間の胸膜外スペースの血液の存在と定義される。原因は,胸部外傷をはじめ,肋骨骨折,自然気胸,胸部大動脈瘤の破裂などの他に,中心静脈カテーテル挿入時などの医原性合併症に起因することがある。肋間動静脈,内胸動静脈などの出血が原因となる疾患で複数の血管の破綻が関与することがあり、抗凝固療法中の患者に発症することが多いとされる。

鑑別診断として,被嚢した胸膜腔内滲出・血種,胸膜腫瘍,末梢肺腫瘍などが考えられる。胸部 CTで胸膜外血腫の特異的な所見で「D-shaped パターン(貯留物と肺の境界が直線状になる)」 「Extrapleural fat sign(胸腔側に脂肪層が見える)」があるが,今回の症例では胸部 CTで,「Extrapleural fat sign」(黄色→)が認められ,胸膜外血腫と診断するのは比較的容易である。また造影CT早期相で血管外漏出(白色→)がみられ動脈性の出血である。
 

第66回 画像診断クイズ(胸部)

出題者からのコメント

胸膜外血腫と胸膜内血腫は治療方針が異なり、CTでの鑑別が重要である。特に胸膜外血腫は胸膜内血腫よりも胸膜外スペースでの血腫の進展により複数の破綻血管が見られることがあり、IVR時に注意を要する。本症例もIVR時、複数個所の肋間動脈の破綻が見られた。