画像診断クイズ

画像診断クイズ

第42回 画像診断クイズ(頭頚部)

正解

正解は選択肢4
 

解説

癌性髄膜炎は、腫瘍が髄膜にびまん性に転移している状態である。髄膜への転移は硬膜・軟膜いずれにも生じ得るが、一般的には、腫瘍が脳脊髄液を介し播種性に広がり軟膜に沿った進展を示す状況を指す。頭痛や後部硬直などの髄膜刺激症状、脳神経症状、認知機能障害などを来す。予後は不良である。乳癌や肺癌での発生が多い。

単純MRIでは、FLAIRで軟膜に沿った高信号を認める。これは、軟膜に沿った腫瘍自体もしくは腫瘍によって生じる高蛋白成分を反映していると考えられている。造影T1強調像ではpia-subarachnoid patternの増強効果を認めるが、dura-arachnoid patternのこともある。造影FLAIRは軟膜の増強効果が検出しやすく、過去の報告では、造影3DFLAIRが造影T1強調像よりも軟膜の異常の検出能が高いとされている。1)内耳道や脳神経に造影効果を認めることもある。 また、髄液の循環障害・吸収障害による交通性水頭症を生じることがあり、担癌患者に水頭症が見られた際は本症を疑う必要がある。
鑑別疾患として、感染性髄膜炎、サルコイドーシスなど挙げられる。

参考文献

  1. Fukuoka H, Hirai T, Okuda T, Shigematsu Y, Sasao A, Kimura E, Hirano T, Yano S, Murakami R, Yamashita Y. Comparison of the added value of contrast-enhanced 3D fluid-attenuated inversion recovery and magnetization-prepared rapid acquisition of gradient echo sequences in relation to conventional postcontrast T1-weighted images for the evaluation of leptomeningeal diseases at 3T. AJNR Am J Neuroradiol. 2010;31(5):868-73.

出題者からのコメント

FLAIRでくも膜下腔に高信号を来す疾患として、髄膜炎のほか、くも膜下出血、軟膜メラニン細胞増殖症、子癇、酸素投与後などが挙げられる。