第32回 画像診断クイズ(消化管)
正解
正解は選択肢3
解説
膵体尾部を中心とした多房性嚢胞性腫瘤が形成され、一部内部に充実性腫瘤を含む。画像上、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)で内部に膵管内乳頭粘液腺癌(IPMC)の成分を含む状態、もしくは膵臓粘液癌を考える所見。腫瘤は横行結腸脾彎曲部に明らかに浸潤し、一部内腔と腫瘤が交通している。腫瘍が横行結腸へ穿通した状態。手術が施行され、病理は膵由来の粘液癌であった。
CT にて門脈右枝本幹内部の血栓を認める。脾臓内部に多発する低吸収病変を認め、脾伷塞や脾臓膿瘍が疑われる。腫瘍による脾動脈浸潤による内腔狭窄による血栓形成も疑ったが、病理では脾臓内の伷塞後変化は確認できるが腫瘍の動脈浸潤は確認されなかった。脾臓の変化は腫瘍誘引となる血栓形成が原因と考えた(いわゆる Trousseau 症候群)。門脈血栓も手術後に自然消退し、腫瘍関連の血栓形成で矛盾しないものと考えた。
出題者からのコメント
悪性腫瘍には時に血液凝固更新が合併し、血栓塞栓症の原因となることが知られている。特に粘液癌で頻度が高いとされる。悪性腫瘍を考える症例で複雑な病態を見た場合、腫瘍関連の血栓形成も病態の一つとして考慮する必要がある。