第28回 画像診断クイズ(消化管)
正解
正解は選択肢3
解説
Brunner腺過形成はBrunner腺より発生する良性病変で、全十二指腸腫瘍の5%と比較的まれな病態である1)。好発部位は、球部が70%、下行部が26%、水平部が4%と報告されている。粘膜下から消化管内腔への隆起性発育が主体であり、主な症状は消化管出血と腸閉塞である。画像診断にはMRIが有用であり、表面平滑な長い茎部を有する有茎性腫瘍で、内部に嚢胞性変化を反映したT2強調画像での高信号域を示すことが特徴的と報告されている2)。また、造影Dynamic CTあるいはMRIでは、辺縁優位のrim状の造影効果を示し、内部は漸増性の造影増強効果を示すことが知られている3)。本症例では、造影CT、MRI所見ともに比較的典型的な所見を認め、術前診断が可能であった。神経鞘腫とは長い茎部を有する点で鑑別可能であり、また、カルチノイド腫瘍やGISTとは、有茎性腫瘤である点や内部の嚢胞性変化の有無、造影増強効果の違いから鑑別可能である。
参考文献
1) | Levine JA, et al. Brunnerʼs gland hamartomas: clinical presentation and pathological features of 27 cases. Am J Gastroenterol. 1995;90(2):290‒4. |
2) | Takeuchi M, et al. CT and MRI findings for Brunner's gland hamartoma: report of three cases. Jpn J Radiol. 2015;33(6):375-9. |
3) | Hur S, et al. Brunnerʼs gland hamartoma: computed tomographic findings with histopathologic correlation in 9 cases. J Comput Assist Tomogr. 2010;34(4):543‒7 |
出題者からのコメント
有茎性の十二指腸粘膜下腫瘍は比較的稀な病態であり、診断に苦慮することがある。Brunner腺過形成は稀な腫瘍であるが、腫瘤の形態や内部の嚢胞性変化、造影パターンが比較的特徴的であり、診断の一助となるため、今回症例を提示した。