第27回 画像診断クイズ(胎児)
正解
正解は選択肢2
解説
所見
T2強調SSFSE像にて右中下葉に周囲肺実質よりも高信号を示す大小多数の嚢胞が認められる。横隔膜の挙上は認められない。気管はやや右側に偏位しているが心臓の偏位は認められない。
診断
先天性肺気道奇形(CPAM;Congenital pulmonary airway malformation) 1型。
CPAMは先天性嚢腫状腺腫様奇形(congenital cystic adenomatoid malformation:CCAM)と呼ばれてきた、終末細気管支の腺腫様過形成からなる先天異常である。
CCAMは多房性嚢胞性病変を呈し、ⅠからⅢ型に分類されていたが、Stockerは1994年に新たに0型と4型を加えて5型に分類し、疾患名もCPAMに変更した。
本症例は最も頻度の多い1型であり、CPAMの約65%を占める。
肺分画症で見られる異常血管は非常に小さいため、MRI で検出できる頻度は低く、CPAMと肺分画症の鑑別には超音波カラードプラ法が有用である。
一方で、超音波ではCPAMと横隔膜へルニアの鑑別が困難であるため、この場合はMRIが有用となる。
CPAMは胎生期に発見された場合、自然退縮する例も報告されており注意して経過を追う必要がある。しかしながら、出生時より呼吸障害をきたしている例や感染症を繰り返している例は、早期の手術が必要である。無症状のCPAMに関しては手術適応や時期については定まった方針がない。
参考文献
Stocker JT, Mani H, Husain AN:The respiratory tract. Stocker & Dehner's Pediatric Pathology. (3rd ed.) ed by Stocker JT, Dehner LP, Husain AN, Philadelphia, Wolters Kluwer Lippincott Williams & Wilkins, 441-515, 2011
Entezami M, Albig M, Knoll U et-al. Ultrasound Diagnosis of Fetal Anomalies. Thieme. (2003) ISBN:1588902129. Read it at Google Books - Find it at Amazon
Chen WS, Yeh GP, Tsai HD et-al. Prenatal diagnosis of congenital cystic adenomatoid malformations: evolution and outcome. Taiwan J Obstet Gynecol. 2009;48 (3): 278-81.
doi:10.1016/S1028-4559(09)60304-1 - Pubmed citation
出題者からのコメント
胎児異常が指摘されている際のMRIは胎児軸に沿ったMRIを撮像することで、診断能が上がります。施設に合った胎児MRIのシークエンスを考えていただければ幸いです。