画像診断クイズ

画像診断クイズ

第25回 画像診断クイズ(骨盤・下肢)

正解

正解は選択肢2
 

解説

左坐骨神経の走行に沿って拡張した血管があり、膝窩動脈に連続している。左浅大腿動脈の低形成を認める。完全型の左遺残坐骨動脈を考える。明らかな動脈瘤の形成は認めない。

遺残坐骨動脈は胎生5週ごろに下肢血流の主幹をなす坐骨動脈が遺残したものである。出現頻度は0.01~0.06%であり、その20%程度が両側で遺残するとされる。
遺残坐骨動脈が膝窩動脈に連続するものを完全型、連続しないものを不完全型と分類され、約80%が完全型である。遺残坐骨動脈の67%で大腿動脈の低形成ないしは消失を伴う。
遺残坐骨動脈は瘤化しやすく、動脈瘤合併率は44%とされる。その原因として動脈壁の弾性線維の先天的低形成や、その解剖学的位置により鈍的刺激を反復して受けやすいことが挙げられる。瘤化例では、坐骨神経圧迫症状、臀部の拍動性腫瘤、血栓閉塞による下肢の虚血などで初発することがあるため、外科的な瘤切除やバイパス術などの血行再建術が必要となる。

出題者からのコメント

この問題は、初学者の基本的知識を高められるように考えてみました。この血管破格を偶発的に認めた場合は、動脈瘤や下腿動脈血栓塞栓などの合併病変の評価にも目を向けてもらえたらと思います。