第24回 画像診断クイズ(脾臓)
正解
正解は選択肢4
解説
SANTは、2004年にMartelら1)によって初めて報告された良性の腫瘍類似病変である。単発性の腫瘤で、硬化性線維性間質内に血管腫様結節が多数みられる。CTやMRIの造影で車軸状の遷延性の増強効果を示すのは、この線維性間質の部分に相当する。
血管腫様成分が単一でなく、CD34(+)/CD8(-)/CD31(+)のcord capillary, CD34(-)/CD8(+)/CD31(+)のsinusoid, CD34(-)/CD8(-)/CD31(+)のsmall vein の異なる3種の血管成分から構成されることが特徴である2)。
基本的には良性病変であることが分かってきているが、増大傾向を示す場合、悪性病変が疑われ、脾摘されるケースが多い。
MRIでのT2強調像での中心部へ集束するヘモジデリン沈着による低信号2)や車軸状とも評される(放射状+辺縁)の遷延性の増強効果など2,3)、特徴的な画像を呈し、SANTが強く疑われる場合は、生検も選択肢の1つとなりうる。
本例では未施行だが、FDG-PETでは軽度のFDG集積の亢進(SUVmax=2.8-1.2)が報告されている4)。
参考文献
1) | Martel M, et al. Sclerosing angiomatoid nodular transformation (SANT): report of 25 cases of a distinctive benign splenic lesion. The American journal of surgical pathology. 2004;28(10):1268-79. |
2) | Lewis RB et al. Sclerosing angiomatoid nodular transformation of the spleen: CT and MRI features with pathologic correlation. AJR American journal of roentgenology. 2013;200(4):W353-60. |
3) | Karaosmanoglu DA,et al. CT and MRI findings of sclerosing angiomatoid nodular transformation of the spleen: spoke wheel pattern. Korean journal of radiology. 2008;9 Suppl:S52-5. |
4) | Imamura Y, et al. Sclerosing angiomatoid nodular transformation (SANT) of the spleen: a case report with FDG-PET findings and literature review. Acta Radiologica Open. 2016;5(8). |
出題者からのコメント
脾臓の腫瘤性病変は多くが偶発的に発見され、画像的には非特異的であることが多い。
特に増大傾向を示す場合は、転移などを含む悪性腫瘍との鑑別が問題になる。
そのような脾腫瘤の中でSANTは、稀ではあるものの、MRIやDynamic studyで特徴的な所見が、診断の一助になるため、今回、症例提示した。