第22回 画像診断クイズ(肝臓)
正解
正解は選択肢3
解説
所見
肝S8にT2強調像で高信号を示す結節が認められる(図1)。造影前T1強調像では低信号(図2)、造影ダイナミック動脈相では結節全体に早期濃染がみられ(図3)、門脈相では周囲肝実質と等信号となっている(図4)。肝細胞相では結節周囲に低信号の被膜様構造がみられ(図5)、拡散強調像では高信号を呈している(図6)。典型的な多血性肝細胞癌の所見であるが、肝細胞相では結節は周囲肝実質より軽度高信号を呈しており、造影剤の取り込みがあると考えられる。
診断
中分化型多血性肝細胞癌
この疾患のポイント
多血性肝細胞癌の一部はEOB肝細胞相で造影剤の取り込みが亢進しており、高信号を呈することが知られている。このタイプの肝細胞癌には中分化型のものが多いとされている。取り込み亢進の機序としては肝細胞癌におけるOATP1B3の発現増加と考えられている。またこのタイプの肝細胞癌は、肝細胞相で低信号を呈する肝細胞癌と比較して、予後も比較的良好とされている。また偽腺管形成や胆汁栓を合併する頻度が高いことも知られている。
出題者からのコメント
一部の多血性肝細胞癌では肝細胞相でEOBを取り込み、高信号を示すことがよく知られていますが、その病態や生物学的特性も理解していただくことが重要と思い、出題させていただきました。