第20回 画像診断クイズ(消化管)
正解
正解は選択肢4
解説
腫大した虫垂の先端に、造影される小さな結節が認められます(矢印)。手術された結果、虫垂カルチノイドでした。
虫垂カルチノイドは虫垂炎に伴って発見されることが多く、切除虫垂の 0.1~2.27%に見られます。比較的若年者に多い疾患です。虫垂炎という疾患の多さを考えれば、それほどまれな疾患というわけではないことがわかります。虫垂腫瘍の中では 32~57%を占めます。70~90%が虫垂の先端に見られ、1cm程度の小さな腫瘍が多いようです。本症例は虫垂カルチノイドとしては一般的な所見であると思われます。
虫垂カルチノイドは、10mm以下の小さなものは転移の可能性は低く、予後良好とされます。ただし、20mmを超える大きなものは転移をきたす症例も多く、右半結腸切除やリンパ節郭清などの治療も考慮されることとなります。その存在に気づかなければ、虫垂炎として手術され断端陽性となってしまったり、そもそも手術や病理学的検索が行われないこともありえます。
虫垂カルチノイドの多くは術前診断が困難とされていますが、ただの虫垂炎だと思っても、造影CTで虫垂に造影される結節が認められる場合には虫垂カルチノイドの可能性を指摘してあげたいところです。
出題者からのコメント
「逆境に克つ人は大勢いるが、順境にはなかなか克てない」
玄侑宗久
順調に診断できてしまうときこそ、その中に隠れた所見を拾うのは、なかなか難しいものですね。