画像診断クイズ

画像診断クイズ

第17回 画像診断クイズ(乳房)

正解

正しくない選択肢2
 

解説

腫瘤性病変の鑑別方法として病変の形状、病変の内部構造、造影ダイナミック検査がよく知られている。ダイナミックカーブの「急速増強―洗い出し」の所見は癌に比較的特異的な所見であるが、線維腺腫などでも見られることのある所見である。そこで役立つのがT2強調像、拡散強調像などである。この病変はT2強調像で均一な高信号、ADCの高値、と良性を示唆する所見が見られる(Arponen O, et al. Eur Radiol 2016;26:4361‒70)。この症例の生検結果は線維腺腫であった。

T2強調像で高信号を呈することが多いのは嚢胞、線維腺腫、葉状腫瘍といった良性病変であるが、粘液癌、triple negative癌も高信号を示す(Uematsu T, et al. Radiology 2009; 250:638‒47)。粘液癌はT2強調像で均一な高信号、ADCは高値であり、鑑別診断から外せない(Woodhams R, et al. AJR Am J Roentgenol. 2009;193:260-6)。
ホルモン受容体陽性の乳がんは壊死が少なく、ADC値が低いことが知られている(Kim SH, et al. J. Magn. Reson. Imaging 2009;30:615‒20)。

出題者からのコメント

この問題は、乳房造影MRIの読影方法の基本的な理解を高められるように、考えてみました。
とくに、乳房におけるT2強調像や拡散強調像の理解が深まることを願っています。