第16回 画像診断クイズ(骨盤)
正解
正解は選択肢3: Tubal wall thickening
解説
子宮背側にT1、T2強調像で低信号を呈する充実性腫瘤を認める。造影では造影効果は不明瞭である。卵巣線維腫や莢膜細胞腫が疑われ、特に線維腫では造影効果は軽度であることが多いが、造影効果が不明瞭なため、茎捻転の可能性については考慮する必要がある。卵巣腫瘤の右前方にT2強調像で低信号から高信号を呈し、中心部に不均一な造影効果を伴う構造を認め、子宮方向に連続している(→)。捻転により腫大した卵管やその周囲の構造を反映した、tubal wall thickeningと考えられる。
Tubal wall thickeningは、捻れた血管構造を示すwhirlpool signと共に付属器茎捻転の診断に有用な所見とされている。付属器茎捻転は急性発症のみならず、亜急性の発症が稀ではなく、本症例のように卵巣腫瘤の精査で偶然指摘されることも時に経験される。急性腹症でなくてもtubal wall thickeningを確認することが重要である。
出題者からのコメント
この問題は、付属器茎捻転は急性腹症が主訴ではない場合にも認められることがあること、また、卵巣腫瘤以外の所見にも目を向けてもらいたいという意図で作成しました。茎捻転の所見として重要なtubal wall thickeningの理解が深まることを願っています。