バイエル画像検査室
MR室
マスクとMRI検査
マスクの種類によりますね。鼻の処に固定する金属が入っているものは撮像部位に関わらず着用したままでは検査できないですね。検査する時は金属が使われていないものに取り替えてもらいましょう。
昨年末にFDAから注意喚起が行われていましたね。それを受けて国内でもMR医学会を始め関連学会からも注意喚起がなされました(下記参照)。マスクの脱着は時節柄ちょっと油断していたよね。今更ですが、改めてマスクの取り扱いは注意しましょう。マスクによっては、フレキシブル部品、ノーズピース、留め具、ナノパーティクル、金属含有と考えられる抗菌コーティングなどが含まれるようです。鼻の周りにある金属は気が付きましたが、他にもいろいろあるので思い込みは要注意ですね。強磁場によるトルクによる事故はないと考えられますが、RFによる火傷のリスクは無視できないですね。ガントリー内ではほぼ全身がRFにばく露されてるわけですから、撮像部位や受信コイルの位置に関係なく対処しなければなりません。万が一にも無いとは思いますが、もし該当するマスクを着けたままでマスクのある部位を撮像してしまったら、金属アーチファクトとして表示されるでしょう。その場合は即座に対応しなければなりません。
問診票でも確認のためにアーチファクトを発生するもの、トルクで引っ張られるもの、RFによる火傷のリスクがあるものなど検査の安全性に関する事柄を確認していますよね。それでもうっかり見逃してしまうこともあります。私も知らずに対応できなかった経験があります。前回紹介したアーチファクトの本で紹介されていた「ヘアジェル」と似ています。ヘアジェルの画像では頭皮がデコボコした画像になっていましたね。
画像引用:弊社冊子「MRIで生じるアーチファクト」
同じ頭部なのですが、「白髪染め」に金属が含まれていて頭の毛がツンツンと尖った感じの画像になっていました。後で判ったことですが、その白髪染めには酸化鉄が含まれていました。酸化鉄は一部の化粧品にも使われていますから、完全に除去して検査を行うことはなかなか難しいですね。落としていただくにしても、いろいろと用途目的があるでしょうから、デリケートな話ですよね。しかし、我々は何気ない化粧品からもアーチファクトが発生する、場合によっては高周波火傷に発展してしまうリスクがあることを理解していなければなりません。この白髪染めの場合では、細かな粉がトルクに引かれてガントリー内に散らばったらシムが狂ってしまうこともかんがえられますね。
マスク関連参照サイト:
- 日本磁気共鳴医学会
「注意喚起:MRIマスク過熱事例」
https://www.jsmrm.jp/modules/news/index.php?content_id=2
MR造影剤用インジェクタサイト:
- 全世界で使用されている3テスラ装置に対応するMR造影剤用インジェクタMRXperion
https://radiology.bayer.jp/products/mrxperion - 複雑な造影検査のニーズにも対応できる機能と操作性を備え、高機能でありながらシンプルな3テスラ対応インジェクタSpectris Solaris EP
https://radiology.bayer.jp/products/solaris
そうですね。早く収束するといいですね。まさかそんなところに金属が!ということは他にもありますから、日頃から気を付けましょう。