MRIで生じるアーチファクト
認識、解明、除去 Harald H. Quick
アーチファクト回避のための対策
アーチファクト | 解決策 |
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体動アーチファクトを回避する。 | 患者に十分な説明をする。 |
体動アーチファクトを回避する。 | 患者が楽な姿勢を保てるようにする。 |
体動アーチファクトを回避する。 | 無理のない撮像範囲を設定する。 |
呼吸アーチファクトを回避する。 | 呼吸の指示および練習を行う。 |
磁場中心では静磁場の均一性および傾斜磁場の線形性が高く、磁場の不均一と画像の歪みを回避。 | 撮像範囲/ 検査領域を磁場中心にセッティングする。 |
生理学的運動とデータ収集を同期調させる。呼吸性アーチファクトおよび拍動アーチファクトを回避する。 | 生理信号によるトリガー(呼吸ベルト、ECG)を用いる。 |
血流信号を飽和させることで、画像面内のフローアーチファクトおよび拍動アーチファクトを回避する。 | プリサチレーションパルスを用いる。 |
位相エンコード方向の折り返しを回避する。 | FOV:必ず対象部位の大きさに合わせて調節する。撮像対象の長辺の方向に読み取り周波数方向を設定する。 |
ケミカルシフトアーチファクトを回避する | 脂肪または水抑制法を用いる |
180°パルスを用いた信号のリフェイズにより、磁場不均一によるアーチファクトと信号減衰を低減し、磁化率アーチファクトと金属アーチファクトを低減する。 | GRE シーケンスではなく、SE シーケンスを用いる。 |
TE を短縮し、スピンの分散および信号減衰を抑え、ケミカルシフトを低減する。 | 受信バンド幅を大きくする。 |
画像の折り返しを防ぎ、必要な画像上に避けられない体動アーチファクトおよびフローアーチファクトが描出されることがある。 | 読み取り周波数方向と位相エンコード方向を入れ替える。 |
広いFOV で傾斜磁場の非線形により生じることがある幾何学的歪みは、非線形補正により改 善される。 | 非線形補正フィルターやソフトを用いる。 |
記載したアーチファクトの多くは、磁場強度が高いほど著明となる。 | 一般的に、磁場強度が低い方がアーチファクトは目立たない(3.0T より1. 5T が有利)。 |
表2 アーチファクト回避のための対策。MRI 撮像で起こりうるアーチファクトを部分的、または完全に抑制するための一般的な対策を一覧 にした。