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MRIで生じるアーチファクト

認識、解明、除去 Harald H. Quick

アーチファクト例 - 稀な例

日常の臨床業務において、ときに我々は見たこともなく明確に分類することのできないアーチファクトに驚かされることがある。その結果、我々はケースバイケースでなんとか区別していくことになる。特に奇妙なアーチファクトの例をいくつか示す。これらは、独特の美的感覚に訴えるものを有しており、我々を魅了し、驚かせる。

ヘアジェルと頭皮

図31

図31.左の画像は、頭皮に沿って信号異常がみられる頭部MRIの矢状断である。金属製の光る粒子を含むヘアジェルによりスパイク状の高信号が生じており、特徴的な信号欠損と信号増強を伴う磁化率アーチファクトが起きている。中央および右の画像は別の例を示している。頭皮に沿った高信号は類似して見えるが、これはアーチファクトではない。頭皮が波状にみえるのは実際の構造物であり、まれな症例である脳回点状皮膚の所見である。この皮膚に起こる病理学的変化では、脳回によく似た構造物が頭皮に認められる。

サイボーグ、それとも鶏?

図31

図32.サイボーグ、それとも鶏?どちらでもない。この冠状断像では、歯列矯正具により、金属アーチファクトにみられる歪みとリング状の信号欠損があり、独特で美的な画像を生み出している。

不思議な直線

図33

図33.腹部MRの横断像では、腹部と背景を横切る水平な高信号の直線がみられる。前後のスライスにも同じアーチファクトがみられ、他のコントラストの画像でも同様に確認できる。詳しく調べると、患者のテーブル清掃に使用した水の残りが脊椎用RFコイルの下に溜まっていたことが判明した。脊椎用RFコイルがこの水からの信号も受信しており、信号の発生源がFOVの外にあったため、これらの領域の信号は画像上部において位相エンコード方向の別の部分に「折り返し」として描出されていた。アーチファクト防止の観点から、次のことが言える:清掃したら、乾かそう!

解剖学的構造とは関係ない

図33

図34.何が言えるだろうか?前後のスライスや患者の臨床情報を確認しても、このアーチファクトの理由を説明できる情報は得られなかった。この驚くべき画像の歪みは、解剖学的構造とは関係ないことが保証されているため、読者は安心していい。答え:これは金属アーチファクトと、それらが含むあらゆる要素(辺縁の明るい大きな幾何学的歪み、限局的な信号欠損、ゴースティング)によるもので、原因は歯列矯正具であった!