ちょっと役立つ
造影検査に関する話題
-CT 編- Ver.3.0
Ver.3.0 改訂にあたって
前回の改訂から約8年が経過し、この間に多くの造影剤の安全性に関連する重要な情報が発出された。
添付文書が新様式に変更され、「原則禁忌」の項目がなくなった。また「腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2018」が発刊され、造影CTの検査適応も変わった。
CT装置の目覚ましい発展により、CTは臨床的にさらに重要な位置づけとなったが、造影CT検査においては、一定のリスクを伴う。医療事故の再発防止に向けた提言 第3号「注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析」では、造影剤使用時のアナフィラキシー発現時における対応において、アドレナリンの早期の筋肉注射の重要性が指摘された。そのため安全な造影検査を行うために知っておいていただきたい情報の充実もはかった。
造影剤の安全な利活用に関する情報を定期的に更新し取りまとめておくことは、新たにCT検査に携わる医師、診療放射線技師、看護師の方々のみならず、多くの臨床現場の皆さんにも役立てていただけるものと考えている。造影CT検査がさらに安全に施行され、多くの患者さんが最大限の利益を享受できるよう本書が活用されることを願っている。
今回の改訂では、初版から引き続き桑鶴良平先生に、新たに粟井和夫先生、大田英揮先生に加わっていただき、ご協力いただいた。この場をお借りして深謝するとともに、日本放射線科専門医会・医会からのご後援をいただき改訂できたことを改めて御礼申し上げる。最後に、本誌改訂において内容の検討段階から協力、支援をいただいたバイエル薬品株式会社の皆様に、心より感謝する。
日本医科大学 放射線医学
林 宏光
2021年12月