症例・導⼊事例
はじめに
症例背景
70歳代、女性、66kg、冠動脈肺動脈瘻
検査目的
不定期に胸苦が見られ、冠動脈CTを施行。冠動脈肺動脈瘻が見つかりCAGが実施された。
使用造影剤(血管造影)
血管造影: イオプロミド370注100mL「BYL」/ 76mL
心臓CT: イオプロミド370注シリンジ100mL「BYL」/ 41mL
症例解説
CAG…高度狭窄なし。
RCA→Lt.PA、LCA→Lt.PAへfistula、LCAからのfistulaにはaneurysmφ5-7mm。右心圧は問題無く、CI・CO保たれていた。瘤の大きさを考慮し、経過観察となった。
撮影プロトコル
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| 使用機器 | 血管造影 | 血管撮影装置名 / メーカー名 | INFX-8000v/JF / キヤノンメディカルシステムズ株式会社 |
| 心臓CT | CT機種名 / メーカー名 | Aquilion ONE / キヤノンメディカルシステムズ株式会社 | |
| CT検出器の列数 / スライス数 | 320列 / 640スライス | ||
| ワークステーション名 / メーカー名 | SYNAPSE VINCENT / 富士フイルム株式会社 |
撮影条件
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| 撮影時相 | 単純 | 動脈相 |
| 管電圧 (kV) | 120 | 120 |
| AEC | SD16 | SD7.5 |
| (AECの設定) | 体幹部標準関数5mm | 体幹部標準関数5mm |
| ビーム幅 (mm) | 140 | 140 |
| 撮影スライス厚 (mm) | 0.5 | 0.5 |
| 焦点サイズ | Small | Small |
| スキャンモード | Volume | Volume |
| スキャン速度(sec/rot) | 0.275 | 0.275 |
| スキャン範囲 | 心臓 | 心臓 |
| 撮影時間 (sec) | 0.275 | HRによるが今回は0.275×2(2Beat) |
| 撮影方向 | 固定 | 固定 |
再構成条件
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| 単純 | 動脈相 | |
| ルーチン:再構成スライス厚/間隔 (mm/mm) | 3.0 / 3.0 | 1.0 / 1.0 |
| ルーチン:再構成関数/逐次近似応用法 | FC04 / AIDR 3D eStandard | FC04 / AIDR 3D eStandard |
| 3D/MPR用:再構成スライス厚/間隔 (mm/mm) | ー | 0.5 / 0.25 |
| 3D/MPR用:再構成関数/逐次近似応用法 | ー | FC04 / AIDR 3D eStandard |
造影条件
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| 血管造影 | 自動注入器機種名 / メーカー名 | ACIST CVi / ブラッコ・ジャパン株式会社 |
| 造影剤名 | イオプロミド370注100mL「BYL」 | |
| 心臓CT | メーカー名 | Dual Shot GX7 / 株式会社 根本杏林堂 |
| 造影剤名 | イオプロミド370注シリンジ100mL「BYL」 |
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| 撮影プロトコル:心臓CT | 動脈相 |
| 造影剤:投与量 (mgI/kg/sec) | 23 |
| 造影剤:注入速度(mL/sec)、注入時間 (sec) | 4.1、10 |
| 生食:投与量 (mL) | 28 |
| 生食:注入速度(mL/sec)、注入時間 (sec) | 4.1、7 |
| スキャンタイミング | BT法(上行大動脈 / 150HU) |
| ディレイタイム | 造影剤注入開始10秒後モニタリング開始。CT閾値に達し、吸気指示2秒後に撮影開始。 |
| 留置針サイズ (G) | 20 |
| 注入圧リミット (kg/cm²) | 13 |
血管造影:右橈骨動脈よりアプローチ、共用カテーテルを使用。ACISTを用いてLCA・RCA 3mL/secを冠動脈より注入。一回撮影の造影剤量6.2mL使用。
当該疾患の診断における血管造影の役割
冠動脈CTでは造影剤が経静脈的に注入され、右心系-肺循環、左心系を経由し大動脈に造影剤が到達した時点で撮影が開始される。その為、左右冠動脈が同時に造影されることになる。
今回の症例では、冠動脈CTで冠動脈肺動脈瘻が見つかったがCAGを行うことで各冠動脈を造影することでRCA→Lt.PA、LCA→Lt.PAへfistula、LCAからのfistulaにはaneurysmφ5-7mmがあることがわかりより詳細な情報が得られた。
使用上の注意【電子添文より抜粋】
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら使用量を必要最小限にするなど慎重に投与すること。本剤は主として、腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。[8.6、9.2.1、9.2.2 参照]