症例・導⼊事例

※ご紹介する症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。

IgG4関連疾患のdynamic CT

施設名: 昭和大学横浜市北部病院
執筆者: 放射線科 山本 紗季帆 先生、竹山 信之 先生、藤澤 英文 先生
作成年月:2024年9月

※ 効能又は効果、用法及び用量、警告・禁忌を含む注意事項等情報等については、電子添文をご参照ください。

はじめに

症例背景

60歳代、男性、61㎏、IgG4関連硬化性胆管炎、自己免疫性膵炎

検査目的

健診にて肝機能異常、皮膚黄染認め、精査目的に腹部骨盤部dynamic CT施行

使用造影剤

イオプロミド370注シリンジ「BYL」/ 97mL

症例解説

健診にて肝機能異常、皮膚黄染を認め、精査目的で当院消化器内科受診となった。今回実施されたdynamic CTではIgG4関連疾患を疑う所見が認められた。血液検査でもIgG4高値を示しており、IgG4関連硬化性胆管炎と自己免疫性膵炎が疑われ、ステロイドでの加療が開始された。

画像所見

図1.単純相
膵臓のびまん性腫大、分葉消失がみられる。

図2.後期動脈相
膵尾部の造影不良域、膵辺縁部に被膜様構造がみられる。

図3.門脈相

図4.平衡相

図5.平衡相
総肝管璧肥厚が疑われる。

図6.門脈相
胆管拡張がみられる。

撮影プロトコル

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使用機器CT機種名/メーカー名Aquilion Prime SP / Canon
CT検出器の列数/スライス数80列/160スライス
ワークステーション名/メーカー名

撮影条件

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撮影時相単純動脈相門脈相平衡相
管電圧 (kV)120120120120
AECSDSDSDSD
(AECの設定)50-550mA50-550mA50-550mA50-550mA
ビーム幅40404040
撮影スライス厚 (mm)0.50.50.50.5
焦点サイズsmallsmallsmallsmall
スキャンモードHelical scanHelical scanHelical scanHelical scan
スキャン速度(sec/rot)0.50.50.50.5
ピッチ65656565
スキャン範囲腹部腹部腹部腹部~骨盤部
撮影時間 (sec)4.64.64.67.6
撮影方向頭⇒足頭⇒足頭⇒足頭⇒足

再構成条件

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 単純動脈相門脈相平衡相
ルーチン:再構成スライス厚/間隔 (mm/mm)2 / 22 / 22 / 22 / 2
ルーチン:再構成関数/逐次近似応用法FC03FC03FC03FC03
3D/MPR用:再構成スライス厚/間隔 (mm/mm)
3D/MPR用:再構成関数/逐次近似応用法

造影条件

自動注入器機種名/メーカー名Dual Shot GX7 / 株式会社根本杏林堂
造影剤名イオプロミド370注シリンジ

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撮影プロトコル後期動脈相門脈相平衡相
造影剤:投与量 (mL)97
造影剤:注入速度 (mL/sec)、注入時間 (sec)3.0、32
生食:投与量 (mL)
生食:注入速度 (mL/sec)、注入時間 (sec)
スキャンタイミング固定法固定法固定法
ディレイタイム造影剤注入開始40秒後造影剤注入開始70秒後造影剤注入開始180秒後
留置針サイズ (G)22
注入圧リミット (kg/cm2)9

当該疾患の診断における造影CTの役割

IgG4関連疾患とは血清IgG4高値とIgG4陽性形質細胞の浸潤、線維化による臓器の腫瘤性、肥厚性病変を呈する全身性慢性疾患である。診断は臨床的及び画像学的診断、血清学的診断、病理学的診断によって行われる。今回実施されたdynamic CTでは胆道狭窄と膵臓のびまん性腫大、膵辺縁部の被膜様構造の所見があり、IgG4関連疾患の診断に有用であったといえる。