症例・導⼊事例
はじめに
症例背景
70歳代、女性、55kg、左鎖骨下動脈狭窄症
検査目的
主訴: 左手しびれ、血圧左右差
主訴の原因として血管病変が疑われ、精査目的に造影CT施行。
使用造影剤
イオプロミド370注シリンジ100mL「BYL」/ 100mL
症例解説
患者は左手しびれ、血圧の左右差で循環器内科を受診し、造影CTが施行された。左鎖骨下動脈は石灰化で高度狭窄が疑われたが、末梢の描出は保たれていた。また、Bovine archおよび左椎骨動脈の大動脈弓直接起始といった血管破格も発見された。本症例は中枢神経疾患の精査目的に脳神経外科に紹介された。
撮影プロトコル
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| 使用機器 | CT機種名/メーカー名 | Aquilion ONE / Canon |
| CT検出器の列数/スライス数 | 320 / 640 | |
| ワークステーション名/メーカー名 | Ziostation REVORAS / ザイオソフト株式会社 |
撮影条件
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| 撮影時相 | 単純 | 早期動脈相 | 後期相 |
| 管電圧 (kV) | 120 | 120 | 120 |
| AEC | volumEC SD:5.0 | volumEC SD:5.0 | volumEC SD:5.0 |
| (AECの設定) | 150-500mA | 150-500mA | 150-500mA |
| ビーム幅 | 40 | 40 | 40 |
| 撮影スライス厚 (mm) | 0.5 | 0.25 | 0.25 |
| 焦点サイズ | small | small | small |
| スキャンモード | Helical | Helical | Helical |
| スキャン速度(sec/rot) | 0.5 | 0.5 | 0.5 |
| ピッチ | 65 | 65 | 65 |
| スキャン範囲 | 胸部 | 胸部 | 胸部 |
| 撮影時間 (sec) | 4 | 8 | 8 |
| 撮影方向 | 足⇒頭 | 足⇒頭 | 足⇒頭 |
再構成条件
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| 単純 | 早期動脈相 | 後期相 | |
| ルーチン:再構成スライス厚/間隔 (mm/mm) | 7 / 7 | 2 / 2 | 2 / 2 |
| ルーチン:再構成関数/逐次近似応用法 | FC03 | FC03 | FC03 |
| 3D/MPR用:再構成スライス厚/間隔 (mm/mm) | 0.5 / 0.3 | 0.5 / 0.3 | 0.5 / 0.3 |
| 3D/MPR用:再構成関数/逐次近似応用法 | FC03 | FC03 | FC03 |
造影条件
| 自動注入器機種名/メーカー名 | Dual Shot GX7 / 株式会社根本杏林堂 |
| 造影剤名 | イオプロミド370注シリンジ |
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| 早期動脈相 | 後期相 | |
| 造影剤:投与量 (mL) | 100(体重により可変) | ー |
| 造影剤:注入速度(mL/sec) | 33(体重により可変) | ー |
| 生食:投与量 (mL) | ー | ー |
| 生食:注入速度(mL/sec)、注入時間 (sec) | ー | ー |
| スキャンタイミング | BT法 | BT法 |
| ディレイタイム | トリガー後18sec | トリガー後180sec |
| 留置針サイズ (G) | 20-22 | |
| 注入圧リミット (kg/cm2) | 10(142psi) | |
当該疾患の診断における造影CTの役割
本症例は鎖骨下動脈狭窄症評価目的に施行された造影CTである。鎖骨下動脈狭窄症では上肢の疲労感や冷感、しびれなどが出現する。椎骨動脈分岐部より中枢側で狭窄をきたした場合は脳虚血のリスクになり、血行動態を把握することは重要である。造影CTでは比較的非侵襲的に血行動態を観察するのに有用である。鎖骨下動脈の評価のみならず、その他の血管について、狭窄や瘤形成、破格などを観察できる。今後脳梗塞をきたし、カテーテル治療をする場合は事前に血管破格などを知ることができる。今回は椎骨動脈直接起始という血管破格もみつかり、鎖骨下動脈狭窄が椎骨動脈血流低下を及ぼすリスクを評価できた。
使用上の注意【電子添文より抜粋】
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら使用量を必要最小限にするなど慎重に投与すること。本剤は主として、腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。[8.6、9.2.1、9.2.2 参照]