症例・導⼊事例
※ご紹介する症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
特殊型乳癌：浸潤性小葉癌
施設名: 京都府立医科大学附属病院
執筆者: 放射線科 後藤 眞理子 先生
作成年月：2024年1月
※ 効能又は効果、用法及び用量、警告・禁忌を含む注意事項等情報等については、電子添文をご参照ください。
症例解説
本症例は生検にて浸潤性小葉癌と診断され、MRI後、右乳房全切除術とセンチネルリンパ節生検が施行された。術後病理では10cmに及ぶ浸潤性小葉癌診断された。センチネルリンパ節生検陽性で腋窩郭清が行われた。
浸潤性小葉癌は、浸潤性乳管癌と異なる造影MRI所見を示すことが知られ、本例のように腺葉をまたがった分布（regional）のnon-mass enhancementとして認められることがあるTime intensity curveは浸潤性乳管癌に比べpersistent patternを呈することが多い。T1WIは構築の乱れがとらえやすい。
撮影の順番と撮像時間
表は横スクロールでご覧いただけます。
| T1WI | 脂肪抑制T2WI | DWI | DCE-MRI造影前 | Ultrafast DCE | DCE-MRI早期相 | 造影後高分解能T1WI | DCE-MRI後期相 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 50sec | 150sec | 360sec | 60sec | 4.7sec/1phase | 60sec | 60sec×2 | 60sec |
撮像画像
1. ダイナミックMRI 早期相MIP画像（正面）
●は乳頭。造影病変は横に長く、腺葉を超えて広がるように見える(regional)。
2. T1強調画像（造影前）
左に比較し、右乳腺上部には収縮性の変化（構築の乱れ）が認められる（矢印）。
3. 脂肪抑制T2強調画像（造影前）
T1WIと同様構築の乱れが認められる（矢印）。
4. ダイナミックMRI（造影前）
5. ダイナミックMRI 早期相
右乳腺上部にnon-mass enhancementを認める（矢印）。
6. 造影後高分解能T1強調画像
造影病変の一部は小さな腫瘤（spiculaあり）のようにも見える。
7. Time intensity curve
Medium-persistentを示す。
8. ダイナミックMRI 後期相
早期相と同様に右乳腺上部にnon-mass enhancementあり。
