症例・導⼊事例
※ご紹介する症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
BPE(background parenchymal enhancement)がmildである浸潤性乳管癌(IDC)
施設名: 名古屋大学医学部附属病院
執筆者: 佐竹 弘子 先生
作成年月:2024年1月
※ 効能又は効果、用法及び用量、警告・禁忌を含む注意事項等情報等については、電子添文をご参照ください。
症例解説
DCE-MRIで、乳癌の病変のステージングを行い、腫瘍の広がりを診断する。更には、他の乳腺区域や対側乳房に病変が検出されないか観察を行う。BPEによって、病変の広がり診断が困難な場合があるが、BPEは乳腺の辺縁域に認められやすいことや、造影パターンが乳癌とは異なることなどを参考にして鑑別をすすめる。本症例では、主病変以外には、腫瘍の広がりや副病変の検出はなく、乳房部分切除術を選択し切除範囲が決定された。手術病理標本でも腫瘍は主病変(浸潤性乳管癌)のみに限局していた。
※BPE:背景の乳腺組織の造影効果
撮影の順番と撮像時間
表は横スクロールでご覧いただけます。
| DWI | 脂肪抑制T2WI | T1WI | DCE-MRI造影前 | Ultrafast DCE | DCE-MRI早期相 | 造影後高分解能T1WI | DCE-MRI遅延相 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 174 sec | 218 sec | 35 sec | 70 sec | 3.4 sec×20 | 70 sec | 127sec×2 | 70 sec |
撮像画像
1.拡散強調画像 (造影前)
乳癌の病変は拡散強調像で高信号を示し、ADC値は低値(0.84×10-3mm2/s)であった
4. ダイナミックMRI (造影前 早期相 遅延相)
早期相で、乳腺の辺縁にBPE(矢印)を認めるが、その範囲は広くなくmildと判定する。乳癌の病変は、早期相から急速に造影され、遅延相でwash outがみられる。BPEは、遅延相で拡大し増強している。
5. Ultrafast DCE
乳癌の病変は、超早期(10相目: 造影剤注入32.5秒後)から急速に造影されている。背景乳腺は超早期では、ほとんど造影されていないが、17相目では軽度増強されている。