症例・導⼊事例

※ご紹介する症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。

Necrotic HCCの診断におけるEOB-MRIの役割

施設名: 鹿児島大学病院
執筆者: 放射線科 鮎川 卓朗 先生
作成年月:2023年1月

※ 効能又は効果、用法及び用量、警告・禁忌を含む注意事項等情報等については、電子添文をご参照ください。

はじめに

症例背景

60歳代、女性、53kg、HCC

検査目的

C型肝炎でフォロー中に肝腫瘍の指摘あり。前医CTにて肝内胆管癌が疑われ、手術目的に当院紹介。肝腫瘍の術前精査目的に再度造影CTとEOB-MRIを施行した。

使用造影剤

EOB・プリモビスト注 0.1mL/kg

症例解説

Necrotic HCCと診断され、切除術を施行された。病理診断でも No residual carcinoma with necrosisとの診断であった。その後再発を認めず、経過観察となっている。

画像所見

図1.Dynamic CT
辺縁濃染する低吸収腫瘤を認める。内部の造影効果は乏しい。

図2.単純T1WI
ドーム直下の肝S8/4にT1WI高信号結節を認める。

図3.単純脂肪抑制T1WI
肝S8/4結節の信号低下は認めない。

図4.造影T1WI後期相
肝S8/4結節は早期から後期相にかけて増強効果は乏しい

図5.造影T1WI肝細胞相
肝S8/4結節にEOB取り込み低下を認める。

撮影プロトコル

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撮像名撮像シーケンス撮像時間
(min:sec)
TE
(msec)
TR
(msec)
FA
(deg)
Fat Sat
(種類)
ETL
(数)
P-MRI
(Reduction Factor)
息止め
(有無)
NEX
(加算回数)
k-space
Dual echoflash35.62.38
4.76
12270GRAPPA 21cartesian
造影剤投与
Dynamicvibe15.02.396.5515Q-fatsat
(CHESS)
CS 8.51cartesian
DWIEPI2:2460呼吸
同期
90fat-sat
(CHESS)
29GRAPPA 24cartesian
T2WITSE19.275190018016GRAPPA 31cartesian
HBPflash20.01.322.7510Q-fatsat
(CHESS)
GRAPPA 41cartesian

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撮像名面内分解能
(mm)
Slice厚
(mm)
FOV
(mm)
Rectangular
FOV(%)
位相方向
(step数)
リード方向
(matrix数)
実scan%Slice
Gap
(mm)
Slice
枚数
3D
partition
(数)
3D実ス
キャン
(%)
3D over
sampling
(%)
Dual echo1.45×1.09
(0.5×0.5)
5.035081.3195320750.530
造影剤投与
Dynamic1.76×1.363.035081.316525680601220
DWI1.80×1.365.035081.3160256760.530
T2WI1.45×1.09
(0.5×0.5)
5.035181.3195320750.530
HBP1.36×1.362.035281.3208256100801210

使用装置と造影条件

SIEMAGNETOM Area 1.5T (SIEMENS)
自動注入器ソニックショット (根本杏林堂)
ワークステーション

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造影条件 投与量(mL)投与速度(mL/sec)撮像タイミング
EOB・プリモビスト5.31.0Care Bolus torigger 30sec
後押し用
生理食塩水
401.0

本症例におけるEOB・プリモビスト造影MRIの役割について

C型肝炎でフォロー中に出現した肝腫瘤について、前医CTではiCCが疑われたが、EOB-MRIにてNecrotic HCCが疑われた。肝切除を施行し、病理学的にもNecrotic HCCが証明された。EOB-MRIは,肝腫瘍の質的診断において有用であることが、あらためて確認された。