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Part3 骨関節領域
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⻑管骨の解剖(epiphysis,metaphysis,diaphysis)は接頭語と成⻑帯で理解する

⻑管骨(long bone)に腫瘍などの病変が存在している場合,それが骨端(epiphysis)に存在するのか(epiphyseal location),骨幹端(metaphysis)に存在するのか(metaphyseal location),それとも骨幹(diaphysis)に存在するのか(diaphyseal location)の判断は,鑑別診断を考えるうえで重要である.本項ではepiphysis,metaphysis,diaphysisを理解するツボについて紹介する.

⻑管骨の解剖(epiphysis,metaphysis,diaphysis)
「physis」は学術用語で「成⻑帯」という意味がある.一方で「epi」は「上」を意味する接頭語である.関節側から眺めて「成⻑帯の上(手前)に存在する部分」がepiphysisである.
「meta」は「後ろ」を意味する接頭語である.関節側から眺めて「成⻑帯の後ろ(奥)に存在する部分」がmetaphysisである.
「dia」は「横切る」を意味する接頭語である.成⻑帯は⻑管骨の両端にそれぞれ存在するが,その両端の成⻑帯を横切る,すなわちつなぐように存在するのがdiaphysisである.
- epiphysisは骨の端っこに存在するため「骨端」とよび,diaphysisは骨の幹の部分に存在するため「骨幹」とよび,そしてmetaphysisは骨端と骨幹の間に存在するため両者の用語を合わせて「骨幹端」とよぶと覚える.
epiphysisは関節側から眺めて成⻑帯(physis)より上(epi),すなわち手前(関節側)に存在する部分を指し(図1のE),骨の端っこに存在するため「骨端」とよぶ.metaphysisは関節側から眺めて成⻑帯(physis)より後ろ(meta),すなわち奥(関節と反対側)に存在する部分のうち,円錐形になっている(くびれがある)部分を指す(図1のM)1).くびれのない棒状の部分をdiaphysisとよび(図1のD),shaftともよばれる.「骨端」に対して,骨の幹にあたるdiaphysisは「骨幹」,両者の中間であるmetaphysisは「骨幹端」ともいう.
骨病変をみた場合,その主座がepiphysisにあるか(epiphyseal location),metaphysisにあるか(metaphyseal location),それともdiaphysisにあるか(diaphyseal location)の判断は重要であり,これと病変が中心性(centric)か偏心性(eccentric)かを組合わせて鑑別診断を進めていく(図2)1〜3).骨関節領域に馴染みのない初学者にとっては,「epiphysisかmetaphysisか?」などと考えること自体が面倒かもしれない.でもそんなことを言っていては「駄目」である.そこで語呂合わせとして⻑管骨の中心から端に向かって「DaME(ダメ)」と覚える.diaphysisのダ(da)をとってdiaphysis → metaphysis → epiphysis(Da→M→E)の順である.

図1 ⻑管骨(右脛骨)におけるepiphysis,metaphysis,diaphysis
:成⻑帯
E:epiphysis(骨端),M:metaphysis(骨幹端),D:diaphysis(骨幹)


図2 「 epiphysis? metaphysis? diaphysis?」(a)および「中心性?偏心性?」(b)からみた病変の鑑別
文献2から引用.
⻑管骨の解剖(epiphysis,metaphysis,diaphysis)は,接頭語(epi,meta,dia)と成⻑帯(physis)で理解する.⻑管骨の中心から端に向かって「DaME」という語呂合わせも活用しよう.