第84回 画像診断クイズ(膀胱)
正解
正解は選択肢1
疾患
膀胱paraganglioma
解説
膀胱paragangliomaは全膀胱腫瘍の約0.1%、副腎外褐色細胞腫の約6%程度を占める稀な腫瘍である。
膀胱頂部や三角部に好発するとされており、膀胱壁内の筋層や粘膜下に存在する交感神経節のクロム親和性細胞より発生すると考えられている。
典型的には頭痛や高血圧などのカテコラミン過剰分泌症状を呈するが、内分泌学的異常を示さない非機能性腫瘍は17%程度存在する。
CT所見は境界明瞭で均一な造影効果を呈する腫瘍として描出される。リング状石灰化は稀とされるが特徴的な所見である。
MRIT1強調像で腫瘍は低信号から軽度高信号を呈する。T1強調像での高信号は特徴的所見とされており、細胞質内の褐色顆粒やメラニン色素を反映していると考えられている。腫瘍内の血管網を反映してT2強調像では高信号、造影後は強い増強効果を示すことが多い。本症例でもT1強調像にて高信号を呈し、強い造影増強効果を認めた。
MIBG-I123シンチグラフィは感度・特異度ともに高く、 paragangliomaの診断に有用であり、本症例でも6時間後、24時間後いずれも膀胱上部にHot Spotを認めた。
参考文献
- Paraganglioma of urinary bladder: Urol Ann 2015 Jul-Sep; 7(3): 402–404.
- Imaging of Pheochromocytoma and Paraganglioma:J Nucl Med.2021 Aug 1; 62(8): 1033–1042.
出題者からのコメント
本症例では造影MRIにて膀胱paragangliomaの可能性を指摘し、 MIBG-I123シンチグラフィにて膀胱para-gangliomaの診断となった。症状はなかったがノルアドレナリン軽度高値であり、膀胱部分切除を施行され病理組織学的にparagangliomaと最終診断された。術後は無再発で経過観察されている。
症状がなく偶発的に発見されることもあるため、造影MRIや造影CTで本疾患を疑った場合はMIBG-I123シンチグラフィを行うことで診断に繋げたい。