画像診断クイズ

画像診断クイズ

第62回 画像診断クイズ(副腎)

正解

正解は選択肢2 18F-FDG PET注射時の状況を確認する。
 

最終診断

血管迷走神経反射による両側副腎の生理的集積
 

画像所見

18F-FDG PETで両側副腎に一致して対称性に高集積(SUV max=右側 4.5、左側 5.0)が認められる。CTで副腎の形態は正常で、腺腫や転移を疑う結節は認めない。
 

解説

本症例は18F-FDG PETの注射時に、一過性の意識レベルの低下、徐脈、血圧低下があり、血管迷走神経反射と考えられた。副腎はカテコラミンを分泌する内分泌臓器で、血管迷走神経反射時にはカテコラミンの分泌が促され、糖代謝が亢進し、FDG集積が上昇すると考えられている。集積は両側対称性で、生理的集積に比して高集積である。画像で副腎に形態異常や結節がないにも関わらず、両側副腎に対称性に高集積を認めた場合は、血管迷走神経反射の有無を確認する必要がある。
 

参考文献

  • 野上 宗伸: 上腹部. 画像診断 41(8): 822-833, 2021.
  • Otomi Y, et al: Increased 18F-fluorodeoxyglucose accumulation in bilateral adrenal glands of patients suffering form vasovagal reaction due to blood vessel puncture. Ann Nucl Med 30: 501-505, 2016.
  • Jinguji M, et al: Vasovagal-related stress immediately before FDG injection may increase bilateral adrenal FDG uptake. Br J Radiol 89: 20150950, 2016.

出題者からのコメント

18F-FDG PETの読影の際に血糖値や投与量は確認されると思いますが、血管迷走神経反射による副腎の生理的集積は、読影者自身が注射をしていないとピットフォールになりやすいと思い出題しました。