画像診断クイズ

画像診断クイズ

第49回 画像診断クイズ(心臓)

正解

正解は選択肢3 亜急性心筋梗塞が疑われる

診断

亜急性下壁心筋梗塞

MRIは胸部圧迫感を自覚してから約1ヶ月後に撮影されたものである。冠動脈造影(画像5)にて右冠動脈近位部で完全閉塞が認められたため、ステントが留置された。

第49回 画像診断クイズ(心臓)
画像5:
冠動脈造影
(A) 右冠動脈造影(治療前)
  右冠動脈近位部に完全閉塞を認める。
(B) 左冠動脈から右冠動脈への側副血行路(矢印)
(C) 右冠動脈造影(治療後)
  右冠動脈近位部~遠位部に2本の薬剤溶出性ステントが留置された。

解説

  1. MRIでの異常所見は下壁中隔~下壁に認められる。左回旋枝ではなく右冠動脈の病変を示唆する。
  2. 虚血の程度や時間経過により、心筋梗塞は心内膜側から心外膜側に進展する。本症例ではほぼ貫壁性に遅延造影が認められる。
  3. T2強調画像では下壁で高信号を呈する。高信号領域は心筋浮腫を反映し、急性~亜急性病変を示唆する。急性心筋梗塞ではarea at riskの心筋は浮腫になるため高信号を呈する。発症約1週間後から高信号領域は徐々に縮小するが、トロポニンが検出されなくなる発症1か月以上経過した時期でも高信号が残存する場合がある。
  4. 負荷perfusion MRIでは、下壁中隔~下壁において全層性の造影欠損を認める。心筋梗塞を有する症例では、負荷perfusion MRIでの造影欠損が遅延造影の範囲より広い場合に梗塞周囲心筋に虚血があると判断する。本症例では貫壁性梗塞であるが、造影欠損は遅延造影の範囲に比較し円周方向に拡大しており、梗塞周囲の心筋に虚血があると考えられる。
     

出題者からのコメント

負荷perfusion MRIは「プロトコールが複雑」、「検査時間が長い」などの理由で、あまり広く普及していないのが現状です。しかし、負荷perfusion・遅延造影・cineの組み合わせであれば検査時間は30分程度で、診断能は心筋シンチより高く、臨床上非常に有用な検査の選択肢になります。