正解は選択肢5
症例2-4のCT画像とFDG-PET画像
出題者からのコメント
胸部CTで偶発的に小結節を検出することがあるため、肺癌の画像に慣れておくことが必要である。
腺癌の画像所見の解析においてはスリガラス濃度部分の存在と周囲の既存構造が重要である。スリガラス濃度部分(肺野条件で血管影が透見できる含気を有する部分)は腫瘍が肺実質構造を保ったまま肺胞上皮置換性に進展した前浸潤部分が含まれる。充実部分(肺野条件で含気のない部分)は腫瘍の浸潤性部分の他、肺胞虚脱・間質の線維化・粘液貯留などが含まれる。
小型肺結節の解析・計測においては高分解能CT(スライス厚1~2 mm 以下)の肺野条件を用いる。呈示画像はいずれも5mm厚の肺野条件であり、小病変の場合、partial volume効果の影響を考慮する必要がある。
呈示画像では、症例1(図1)・症例2(図2)のスリガラス濃度を均一とするか、不均一とするかで迷われたと思われる。症例1では高分解能CTおよび切除病理で充実成分は存在しなかった。症例2では高分解能CTの他スライスおよび切除病理でごく一部に充実成分を認めた。
これらの結節に遭遇した場合、高分解能画像を再構成することが重要である。例えば、図2の腫瘍の胸膜側の広範な淡い濃度が平板状の胸膜陥入所見であることがわかる。また、腫瘍の周囲構造の関与を知るためにはMPRが有用である。