正解は選択肢4
鼻中隔右側、下鼻甲介前方に単純CTにて軟部濃度、造影CTにて強い造影効果を示す境界明瞭な結節を認め、化膿性肉芽腫が疑われた。その後手術にて摘出され、病理診断はlobular capillary hemangiomaであった。
化膿性肉芽腫(pyogenic granuloma)は組織学的には小葉状毛細血管腫(lobular capillary hemangioma)とも呼ばれ、皮膚、粘膜に発生する良性の隆起性病変である。妊娠中に発生しやすいことから欧米の文献では“pregnancy tumor”とも呼称されている。本疾患はしばしば急速に増大し、悪性腫瘍との鑑別が重要となる。
頭頸部領域では更新、舌、頬粘膜などの顔面軟部組織に発生することが多く、鼻副鼻腔領域の発生は少ない。鼻腔内では鼻中隔前方、下鼻甲介先端部が好発部位である。
CT所見は境界明瞭な軟部濃度の腫瘤で、強い造影効果を示し、周囲を増強効果の乏しい領域が様々な厚みで取り囲む。MRI所見はT1強調像では灰白質と等信号、T2強調像では不均一な高信号を示し、辺縁にリング状の等~低信号域を認める。造影MRIでは大部分は強い造影効果を示すが、T2強調像で等~低信号を示す辺縁部は造影効果に乏しい。辺縁部の乏血性領域は腫瘍表層部の潰瘍形成や炎症性の分泌物を反映した所見とされるが、サイズの小さい病変では認識できないことがある。
なお、本症例ではMRIの撮像はなされていない。
参考文献
出題者からのコメント
発生部位、画像所見ともに典型的な化膿性肉芽腫ですが、意外に目にする機会は少ないかと思い、出題させていただきました。