第38回 画像診断クイズ(頭部)
正解
正解は選択肢2
解説
画像所見
左尾状核頭に出血、左視床に腫張と低吸収域を認める。内大脳静脈から直静脈洞、右横静脈洞、左脳底静脈が高吸収を呈している。右後頭部に硬膜下出血のように見える高吸収域は、血栓化した横静脈洞であった。
診断
静脈血栓症によるうっ血性(静脈性)梗塞と出血
解説
脳卒中が疑われる患者の鑑別についての問題です。静脈血栓症では、静脈性梗塞を生じるため、出血、脳浮腫(腫脹)、脳梗塞など多彩な画像所見を呈します。脳出血や急性期脳梗塞を多く経験する日常診療では、本疾患が疑われず診断が遅れる場合があります。
画像所見は脳動脈の支配領域に一致しない病変の分布と静脈洞および静脈の血栓化です。血栓化した静脈はCTで高吸収となります。MRIでは、静脈血栓症の検出にT2*強調像が有用とされますが、非特異的な信号を呈す場合もあり、拡散強調画像、T1/T2強調画像、MRA元画像を含めた総合的な評価が大事です。
出題者からのコメント
日常診療においては、静脈血栓症の可能性を考えない場合も多く、画像診断の役割は大きいと考えます。脳動脈の支配領域に一致しない異常を認める場合には、本疾患の可能性を考え、深部静脈や静脈洞をチェックすることが重要と考えます。