第14回 画像診断クイズ(精巣)
正解
正解は選択肢3: 副腎
画像所見
CT, MRI ともに両側精巣内に 1cm を超えない造影される結節が散在。
MRI ではT2 強調像にて中等度の信号、造影にて強い造影効果を示す小結節は両側精巣縦隔 (精巣網) 付近に分布している。
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診断
両側精巣の Adrenal Rest Tumor (先天性副腎過形成に合併)
重要事項
Adrenal Rest Tumor は副腎皮質が発生の段階で異所性に残存し、何らかの刺激により、過形成・腫瘍化したものである。性腺 (精巣・卵巣) の他、肝・腎・後腹膜・膵・結腸などに発生しうる。
男性における性腺の Adrenal Rest Tumor は本症例の様に先天性副腎過形成に合併することが多い。両者の合併はWilkins らによって 1940 年に初めて報告されているが、Negative feedback によって上昇した ACTHによって精巣内の副腎残基が慢性刺激により、過形成 ~ 腫瘍化すると考えられている。
精巣 Adrenal Rest Tumor は両側性で、精巣縦隔付近に分布することを特徴とする。超音波でも多くは低エコーを示すことが多く、MRI では T2 強調像にて中~低信号、T1 強調像で低信号、良好な造影効果を示すことが多い。このような所見を見た場合は先天性副腎過形成が背景に存在する可能性を疑い、副腎をチェックすると診断の一助となりえる。なお、本症例も両側副腎に過形成と思われる腫大が認められている (参考図)。