バイエル画像検査室

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MR室

Abbreviated MRIとは

Abbreviated MRIは短時間で検査ができると聞きました。私達の施設でも検査プロトコルを見直したら検査数を増加させることができるのではと思います。

そうだね。同じ検査情報を提供できるなら、その検査時間が短くなるのは基本的によいことだと思います。検査プロトコルを見直す前に、Abbreviated MRIの概念を考えてみましょう。

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最近ではいろいろな検査部位においてAbbreviated MRI(簡略化したMRI検査)の話を聞きますが、今のところDynamic撮像が含まれている検査が多い印象です。Abbreviated MRIを考えるきっかけとなったKuhl先生の論文をみてみましょう。2014年のJCO(Journal of Clinical Oncology)に掲載された「Abbreviated Breast Magnetic Resonance Imaging(MRI): First Postcontrast Subtracted Images and Maximum Intensity Projection – A Novel Approach to Breast Cancer Screening With MRI」では乳房MRIをたった3分!で完了できるとありました。周知のようにJCOはインパクトファクターがとても高いジャーナルであり、この論文のインパクトはまさしく絶大でした。ではこの3分MRIを正しく施行するためのヒントは論文タイトルそのものと云えます。「MRIを用いた乳がんスクリーニングの新しいアプローチとして、簡略化された乳房MRIを提案します。それはDynamicの1相目をサブトラクションしてMIPで確認します」とあります。え~!それだけでいいの。あのKuhl先生が提案しているのだし、早速明日からプロトコルを見直しましょう!と、思ってしまうかもしれません。ちょっと立ち止まって、ここに至る背景と施行する前提条件を確認しましょう。

乳房MRIは画像診断の中で乳がんの検出感度がとても高い。ここ十数年は乳房MRIを用いた(ハイリスク)スクリーニング検査が主なトピックスである。しかし、スクリーニングのための乳房MRIの検査枠を十分に確保することは難しく、費用も高額である。一般的にスクリーニングに用いられるプロトコルは診断用と同じである。ならば、(ハイリスク)スクリーニングに特化して簡略化されたMRI検査を施行することで、これらが解決できるのではという提案だと考えられます。Dynamicの1相目だけの検査でも病変の拾い上げに関して高い精度で実現しているとされています。その前提として、乳房MRIに関してエキスパートレベルの施設および専門性の高い画像診断医が所属していることが重要になります。Abbreviated Breast MRIは(ハイリスク)スクリーニング検査用のプロトコルであり、術前検査や組織特性の診断、化学療法のフォローアップなどに必要な検査プロトコルを省略するものではありません。

いろいろな検査部位で提案されているAbbreviated MRIですが、その目的や背景を十分考慮した上で採用の可否を判断しなければなりません。

そうだったのですね。ルーチンや精査で行っている検査を単純に簡素化するわけではないのですね。Abbreviated MRIは検査目的を明確にして適切に施行することが大切ですね。