バイエル画像検査室
MR室
Parallel Imagingの種類
今ではほぼすべての撮像で用いられているParallel Imagingですが、一般的にどのようなものがあるのか簡単に整理してみました。
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現在のMRI撮像においてParallel Imaging(またはParallel MRI、以下P-MRIとします)は一般的な撮像パラメータの一つとなっています。P-MRIの基本原理として、画像から再構成するものと、k-space上でデータを作成し再構成するものの二つに分けることができます(図1)。
いずれの場合も撮像時にアンダーサンプリングを行うことで撮像時間の短縮が期待できます。P-MRIは臨床応用と同時に爆発的に普及しましたが、それまでは、撮像時間を短縮する手法としてハーフフーリエ法の選択肢がありました。ただ、P-MRIほど積極的に用いられてはいませんでした。
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図1
P-MRIはアレイコイルと無縁ではありません。
アレイコイルは小さなコイル(高感度なサーフェースコイル)を並べることにより広範囲においてSNRの向上を目的として開発されました。Sodicksonらは、アレイコイルの個々のコイルに位相エンコードを施すことによって、撮像時間の短縮が可能となることをSMASH(Simultaneous Acquisition of Spatial Harmonics)法として1997年に示しました。
これが後にGriswald らが報告するGRAPPA(Generalized Auto calibrating Partially Parallel Acquisition)法の元となるSMASH法の誕生です。
この報告は新たなP-MRIが開発されるきっかけとなります。Pruessmannらが翌年、複数コイル(基本は対向型)の感度分布用いて行うSENSE(Sensitivity Encoding)法を報告しました。
後にPruessmannがISMRM(2013年ソルトレイクシティ)にてLauterber Lectureを講演(図2)されたときに「前年のSodicksonらの報告に刺激されました。その時の写真です。」と、SMASH法を報告するトラディショナルポスター展示の前で、お二人が並ぶ写真を紹介されていました。
このお二人はISMRM(2006年シアトル)のGold Medalを同時受賞されています。
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図2
GRAPPA法の開発者であるGriswaldは、近年報告が増しているMR Fingerprintingの第一人者として知られています。
毎年新しい技術が報告されるMRIの世界はとても刺激的です。