バイエル画像検査室

MR室

In phaseとOpposed phase

来週、ローテーションで初めてMRI検査を担当するのですが、In-OutとかOpposedも撮像すると聞いたのですが、これはどのようなコントラストですか。

それはGRE法の時に用いる撮像方法だね。ちょっと詳しくみてみようか。

バイエル画像検査室

一般的に臨床で用いられているMRIは、人体のもっとも多い成分である水素(プロトン,1H)の共鳴周波数に合わせて撮像しています。この共鳴周波数は磁場強度によって異なります。

プロトン(1H)は水や脂肪に多く含まれている元素になります。何かの工夫をしなければ水だけの信号が欲しくても、脂肪の信号が一緒に得られることになります。
いわゆるケミカルシフトアーチファクトと呼ばれる現象は、この水と脂肪の共鳴周波数がわずかに異なること(3.5ppm)が原因です。

プロトン(1H)における磁場強度別の共鳴周波数および水と脂肪の周波数差を示します(1.5Tを基準に切の良い数字に整理しました)。

バイエル画像検査室

使用しているMRI装置の共鳴周波数を知れば、GRE法におけるTE選択の参考になりますので、一度確認されることをお勧めします。

さて、GRE法ではこの水と脂肪の周波数差を異なるTEで撮像して、In phaseとOpposed phase(あるいはOut of phase)の画像を得ることがあります。特に上腹部の検査では脂肪の存在を確認するために用いられています。
もちろん、しっかりと脂肪抑制したい場合は各種オプションパルス(Chess、Binominal、SPIR、SPAIR、DIXON、水の選択励起など)を用います。多くの場合、GRE法では異なるTEにより水と脂肪の信号を意図的にIn phase(同位相)とOpposed phase(逆位相)の画像を得ますが、その時起こっている水と脂肪の位相を示します(1.5Tの場合。1/224Hzで計算)。

バイエル画像検査室

こうして位相差を図で確認すると、In phase(同位相)とOpposed phase(逆位相)ということが判ります。何気に使うIn phaseとOut of phase(同位相ではない。同位相から外れている。)の組み合わせでは間違ってはいないが、正しく伝わっていないかもしれません。
In-Outと云いがちですが、逆位相のTEを示す場合にはOpposed phaseが適しているでしょう。