バイエル画像検査室

MR室

k-spaceのkってなに?

MRIではよく耳にするk-spaceですが、k-spaceのkの由来をおさらいしてみます。

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MRIの撮像法において頻繁に出てくる用語としてk-space(k空間)があります。
得られたMR信号を保管している場所であり、このデータをフーリエ変換することで私達が普段目にする画像になります。

このk-spaceは得られたMR信号の低〜高周波の成分が混ざった多くの波の集合体です。
その埋め方は撮像シーケンスに由来(Liner, Centric, Radial, Spiral等)するものや、任意に並べ替え(re-order )たり、意識的に収集数を減らし不足分を補う(k-space based parallel imaging, Compress Sensing等)手法など多彩です。

また、これらk-spaceの埋め方による固有のアーチファクトがあり、画像上に出現したアーチファクトの原因がシーケンス由来なのか、装置トラブルによるものかを調べるためにk-spaceのデータを確認することは有効な手段となっています。

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ところで、このk-spaceのkってなに?と思ったことはありませんか。
このk、他の単位と同様に人の名前が由来です。ドイツ人のハインリッヒ・カイザー(Heinrich Gustav Johannes Kayser , German:1853–1940)の頭文字から引用されています。

このkはCGS系における単位長さあたりの波の数の単位cm-1であり、周波数fは単位時間あたりの波の数であることから、波の伝播速度をvとすると、f = k・vとなります。

現在、国際単位系(SI)における波数の単位は毎メートル(m-1)であるが、電磁波の波数の場合はCGS単位系の毎センチメートル(cm-1)を使う場合があり、カイザー(K)という固有名称を用いることがあるそうです。この記号は国際単位系(SI)では温度の単位ケルビンに割り当てられていため、アメリカ国立標準技術研究所は、1 cm-1にKの文字を使用するのを中止するよう勧告しているそうです。

初期にはバルマー (balmer)、リュードベリ (rydbery) という単位名称も提案されたそうですので、b-spaceとかr-spaceの可能性もあったのかもしれません。