バイエル画像検査室
MR室
乳房MRI検査?「一般名称は乳房MRIです。」
知人が乳がん健診でMRIを勧められたそうです。検査センターによって、MRマンモとかBreast MRIあるいは乳房MRIと呼び名が違うようですが、同じ検査を受けられるのでしょうか。
色々な呼び名があるけど、同じMRI検査のことを指しているから安心して受けてください。でも、用語は統一されていた方が判り易いよね。
近年、MRI検査の中で検査数および造影率が増えている検査部位の一つとして乳房MRIが挙げられます。国内における乳がんの死亡率は上昇を続け(近年、若干下がったとの報告がある)、世間一般として乳がんおよび乳がん検診への関心が高まっています。そんな中、アンジェリーナ・ジョリー氏の予防的乳房切除に続き卵巣卵管の切除は大きな話題となりました。予防的に切除された根拠は遺伝性要因による家族性乳がんの発症リスクが80%(最大で87%)を超えたためと云われています。乳がんおよび卵巣がん症候群の遺伝性リスクとしてBRCA1/BRCA2の遺伝子変異陽性が挙げられます。詳しくは「日本HBOCコンソーシアム」のホームページを参照ください。
また、これらハイリスクグループに関して検出感度の高いMRIを用いる場合のガイドラインが「日本乳癌検診学会」からまとめられています。
一般診療における乳房MRIのガイドラインは「日本乳癌学会」が発行している乳癌診療ガイドライン2.疫学・診断編に記載されています。
さて、普段私たちは乳房MRIのことを何と呼んでいるでしょうか。X線マンモグラフィの流れからMRマンモグラフィと呼ぶこともあります。あるいはBreast MRIとか乳腺MRIと呼ぶこともあるでしょう。これらの呼称は施設によってまちまちであると思います。これらの呼称が広がった背景として、欧州ではMRマンモグラフィ、米国ではBreast MRIが用いられていることが考えられます。それでは、日本国内において一般名称として用いる際、適切な呼称はなんでしょうか。それは「乳房MRI」です。根拠は日本乳癌学会が発行している乳癌診療ガイドラインで用いられている呼称だからです。本ガイドラインを作成するにあたり呼称をどうするか検討され、その結果「乳房MRI」になったそうです。
国内では「乳房MRI」、海外へ論文等を投稿する場合にはその国で用いられている用語を使い分けることが、良いのかもしれません。