バイエル画像検査室
線量管理室
DRLs 2020と核医学領域における線量管理システムの運用
核医学検査には、どのように線量管理システムを活用しているのですか?
製剤名や検査名、実投与量を適切にシステムに記録し、DRLを参考にした統計処理を行っています。
線量管理のためには、2020年にJ-RIMEから公開された、DRLs 2020を参考に、線量の評価を行うことが一般的となっています。
そのDRLs 2020の中で、核医学の分野においては製剤名および検査名毎に、実投与量(MBq)に対する線量基準レベルが設定されています。(「Japan DRLs 2020の概要とシステムを用いた線量管理」を合わせてご覧ください。)
線量評価のためには、自施設の代表的な線量を求める必要がありますが、線量管理システムを用いてこの代表線量値を求めるために必要な情報は、どのようにして収集すればよいでしょうか?次にいくつかの例を紹介します。
- 検査装置側で登録している製剤名や実投与量などの情報を、核医学検査時のオリジナル画像のタグやRRDSR等の、DICOMデータを活用して取得する。
- 線量管理システム内で手入力を行う。
RIS等との連携により取得する。
検査装置側の仕様や、RIS等への記録状況、および線量管理システムとの接続可能性から、データフローを検討する必要があります。
また、収集する情報の粒度についても注意が必要です。例えば、心筋血流シンチグラフィーにおける自施設の実投与量の代表値を導く際には、201Tl-chlorideという製剤名と、実投与量の数値のみでは、DRLとの比較を行う上では情報不足となります。なぜなら、201Tl-chlorideは心筋血流シンチグラフィー以外の検査目的でも使用されることがあるためです。また仮に、テクネチウム製剤を使用した場合においては、負荷時と安静時の二回、インジェクションを行うことも考えられます。このような事例から、製剤名と合わせて、検査内容を表す情報を記録していく必要があります。
検査装置側で当該検査情報を記録するためには、DICOMタグの中で検査名を示すStudy description(0008,1030)のタグを活用することが考えられます。また、Requested procedure code sequence(0032,1064)などのタグ内にオーダー情報に基づく情報が記録される可能性も検討の余地があります。いずれの方法においても、検査装置側の運用を見直す必要があるかもしれません。
線量管理システム側で検査情報を記録していくという方法も考えられます。例えばRadimetricsを使用している場合、検査タグ情報を付与していくことができます(図1)。プルダウン形式での選択や、選択項目の絞り込みも容易です。
図1.核医学検査に対する検査タグ付け機能
線量管理システムに記録されている、「検査情報」、「製剤情報」、の情報をキーに、特定の検査群における「実投与量」の中央値を求め、DRLの値と比較したり一定期間ごとの推移を求めたりすることで、線量評価を行うことができます。
検査情報を線量管理システム上に正確に記録していくことで、より精度の高い統計処理ができるようになりました。