バイエル画像検査室
線量管理室
小児検査における線量評価
線量管理を行う上で、小児と成人の体型の違いはどう考慮したらいいですか?
小児と成人の線量を、CTDIvolとSSDEで考えてみましょう。
CT検査の線量指標としてはDLPとCTDIvolが一般的な線量指標として用いられますが、これらは被検者の体型に合わせたものではなく、16cmもしくは32cmのアクリルファントムに照射した際の吸収線量を基準としています。よって、異なる体型の被検者に対し、同じ照射条件での検査を行った場合、CTDIvolは同じような値になります。実際には被検者の体格に合わせ、出力の調整が行われる場合が多いと思いますが、線量値はどうなるでしょうか?
CTDIvolで考えると
例)左撮影条件:120kV、100mAs 右撮影条件:120kV、200mAs(共に32cmファントム計算)
CTDIvol計算には実際の体型差が考慮されていないので、実際の被検者の吸収線量は異なってくると考えられます。
近年ではこの体格差を考慮した線量指標として、American Associations of Physicist in Medicine(以下AAPM:米国医学物理学会)が考案した、CTにおける新しい線量指標、Size-Specific Dose Estimates(以下SSDE)を用いることを推奨する団体もあります。
SSDEで考えると
例)左撮影条件:120kV、100mAs、右撮影条件:120kV、200mAs
SSDEとは
CTDIvolはサイズが規格化されたファントムの値を用いる指標に対し、SSDEは被検者スライス断面を用いて計算される線量値です。撮影を行った被検者の画像を用いて係数算出し、被検者ごとの線量を推定できる値となっています。
SSDEの計算方法
Axial画像から計算する場合、APとLATの長さから実効直径を求め、その値に対応した変換係数をCTDIvol掛け合わせることで算出します。
※変換係数:AAPM Report No.204: Size-Specific Dose Estimates (SSDE) in Pediatric and Adult body CT Examinations
最新の線量管理システムはこのSSDEを自動計算し、DLP、CTDIvolなどの線量指標と同じように管理できるシステムがあります。(図1)
図1:線量管理システムのSSDE表示例
SSDEの計算にはCT画像からの実効直径算出や変換係数を用いた計算など、少し煩雑な面がありますが、最新の線量管理システムを使用することによりこの計算が自動化されるので、より管理しやすい指標となりそうですね。