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4人の放射線科スタッフがお届けします。
線量管理室
日本の医療費は高いと感じていたのですが、アメリカの方が高いというのは本当ですか?
アメリカでは一人当たりの平均年間医療費は、日本の約2.7倍といわれていますよ。
米国は先進国の中でもGDP(国内総生産)に占める医療費の割合が17.9%(2011年)と世界一高く、その支出額は年間約2兆7000億ドルにのぼっています。一人当たりの年間医療費を見ても日本の約2.7倍となっています1)。(図1)
医療費増大の原因は、超高齢化に起因する日本とは異なり、最先端の医療技術への投資や付加価値の高い医療サービス提供に伴う高価格設定が医療費増大の一因になっていると考えられています。
また、日本の10倍以上の訴訟件数を抱える米国では、医師の多くが訴訟に対するリスク回避のため高額な医療過誤保険に入るとともに、リスク回避のための様々な治療前検査が実施されることも医療費高騰に影響を及ぼしていると考えられています。
アメリカの医療費例
ニューヨーク市マンハッタン区の医療費(同区以外の2倍から3倍ともいわれている)
CT撮影の費用
都市や病院によって異なりますが
図1)一人当たりの年間医療費(2011年)
医療費が増大する中、医療費を抑制する動きが高まっており、医療機関側では検査装置やITシステムへの投資対効果の明確化や、各検査に於いても、画像管理・読影・レポーティングといった範囲まで、その行為が「Meaningful Use:有意かどうか?」を検討されることが今後予想されています。
このような状況を受け、American College of Radiology:米国放射線科医学会(以下ACR)は、放射線科医の価値向上のため、大きく以下の3項目を医療改革における放射線科医の課題として掲げています。
1. | Provide better care at low cost:低コストでより良いケアを提供する |
2. | Improve the health of the population:国民の健康維持促進に寄与する |
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3. | Empower patients in their healthcare:患者に対してヘルスケア改善の直接的な力となる |
ACRが提唱するこの取組は「Imaging 3.0」と題され、「Evolution in Patient Care: 患者ケアにおける進化の必要性」がテーマとなっています。
よく聞く話ですが、海外渡航時の通院には注意が必要ですね。
【参考文献】
1) | 厚生労働省,医療保障制度に関する国際関係資料について |
2) | 外務省,在外公館医務官情報 |
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