バイエル画像検査室
CT室 大腸CT検査
便潜血陽性後の精密検査には、どのような検査がありますか?
大腸内視鏡や注腸検査のことで、大腸CT検査も含まれます。
大腸CTの勉強会に行ってきたヨウドです。撮影法や大腸拡張法など勉強してきました!でも、内視鏡や注腸検査があるのに、なんで大腸CTをわざわざ導入したんだろう…。いきなり技師長に聞いても怒られるし、ちょっと調べてみました。
現在、健康診断などで行われている便潜血検査は、ヒトのヘモグロビンに対する抗体を使った免疫学的方法が主流です。免疫学的方法以外には、化学的方法という検査方法もあるのですが、あまり行われていません。というのも、人間以外の血液成分に反応してしまう擬陽性反応や、ビタミンCの多量接種による偽陰性になることがあるからです。そのため、約3日間の食事制限を行う必要があるのですが、これではとても簡便な検査とは言えません。
このヒトのヘモグロビンに特異的な反応を示す免疫学的方法では、イムノクロマト法という測定原理がよく用いられます。この原理はインフルエンザの検査や妊娠検査薬でも、微量のウィルスやホルモンを検出するのに役立っています。
便潜血反応が陽性の場合、精密検査として、大腸内視鏡検査や注腸検査を受けることが一般的です。また、2012年度に保険適用となった大腸CT(CT colonography)も、現在では精密検査の一つとして普及してきています。
大腸CT検査の特徴
- 一度の検査で仮想内視鏡画像や注腸類似画像を作成できる
- 他の検査と比較して術者の技術差に影響を受けにくい
- 内視鏡検査では確認できない大腸ひだの裏側や、狭窄部位の奥も観察ができる
- 造影検査を同時に行うことで、術前診断での大腸周辺の血管走行と病変の位置関係を把握できる
- 短時間で検査が行える(10-15分程度)
- 注腸検査と比べた場合、一般的には被ばく量が少ない
- 注腸検査と比べた場合、体位変換が少ない
- 5mm以下の病変や扁平な病変の描出が難しい
- 大腸CT専用の読影技術が必要になる
- 内視鏡検査と比べた場合、組織検査や治療ができない
- 内視鏡検査と比べた場合、被ばくがある
代表的な大腸CT検査の目的
①潜血反応陽性患者の一次精査目的や、内視鏡レスキューとして
精査目的での内視鏡検査の予約が長期間埋まっている場合、まずは大腸CT検査を行い内視鏡検査を実施するかのふるい分けとして
もしくは内視鏡検査をおこなった際に狭窄部位があり、そこから奥が観察できない被検者への検査方法として
②手術前の病変部位確認・血管走行シミュレーション
造影検査を大腸CT検査と同時に行うことで、大腸の病変部と周辺の血管走行を同時に描出するため
転移や他臓器への浸潤、リンパ節転移の確認を行うため
③人間ドックなどでの健康診断目的
人間ドックなどでは内視鏡検査に比べて受診者の抵抗感が少ないと考えられ、特に女性の受診者や内視鏡検査で苦痛を感じた方への選択肢として
大腸CT検査のメリットと、他の検査のメリットを組み合わせることで、より効果的な大腸の検査が実施できるのではないでしょうか。
それぞれの検査法の特徴が理解できたかな。忘れないうちにまとめておこっと。