バイエル画像検査室
血管造影室
空気誤注入を防止するために注意することはありますか?
造影剤充填時の操作のコツを教えますね。
基本的な事として、バイアルの造影剤を純正シリンジに充填する場合、1人の担当者が行い、作業の途中で他の担当者に交代しない事。交代が避けられない場合は、新しい担当者は必ず気泡除去を確認することが重要ですね。
血管内への空気注入は、被検者さんに重篤な傷害や、死亡の原因となることがあり、造影検査時に誤って空気が注入される事例も報告されています。空気注入を防止するための対策をきちんと共有しましょう。
血管造影用インジェクタでは、純正シリンジに造影剤の充填や気泡除去を行う際、被検者に接続されていない事を確認し、インジェクタヘッドを上向き位置にして操作します。充填の時、シリンジ内に気泡が付着してしまうと除去する事が難しいため、マイクロバブルの発生を最小限にする充填方法や、充填用チューブを使用します。充填方法のポイントは、吸い始めを特に気を付けることです。充填チューブ内の空気が、純正シリンジのプランジャー部分に付着しやすいため、プランジャー部分が満たされるまではゆっくりと(2-3 mL/sec程度)吸引することが効果的です。使用する吸引チューブは直径が太く、長さ25cm以内がよいといわれています。
被検者にインジェクタのルートを接続するときは、必ず純正シリンジ内と、接続される消耗品の気泡除去を確認します。インジェクタ用の純正シリンジは、空シリンジと造影剤充填済みシリンジを見分けるため、透明度の高いシリンジや、液体が充填されていることを知らせるマーク付きシリンジが市販されています。
単回使用であるプレフィルドシリンジ(以下PFS)の造影剤も、空気注入への注意は必要となります。チューブ内のエア抜き確認はもちろんですが、PFS自体にも注意が必要です。過去にあった事例では、注入後にPFSを外さずインジェクタのピストンを後退させ、その後インジェクタが準備済みであると誤認し、PFS内の空気を注入してしまう医療事故も発生しています。
造影検査では、シリンジ内に液体が充填されていることを、常に確認する事が必要ですね。