Japan DRLs2020におけるCT検査の線量管理と
Radimetricsの最新バージョンについて
公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院
Kurashiki Central Hospital
〒710-8602
岡山県倉敷市美和1-1-1
TEL 086-422-0210(代表)
倉敷中央病院 放射線技術部
福永正明
診療放射線技師
博士(保健学)
X線CT認定技師 医療情報技師
はじめに
本邦初となる診断参考レベル(diagnostic reference levels:DRLs)が,2015年6月に公表された(DRLs 2015)1).その頃の当院は,日本診療放射線技師会の事業である医療被ばく低減施設の認定を受けるための準備の最中であった.当時,線量管理システムは,当院に導入されていなかったため,われわれは手作業で線量情報を収集し,診断参考レベルと当院の線量を比較した.血管撮影装置およびX線TV装置は,放射線情報システム(radiological information system:RIS)へ透視時間を手入力で記録していたが,他のモダリティでは線量の記録は実施できていなかった.また,X線CT検査は,線量情報を記載したdigital imaging and communications in medicine(DICOM)セカンダリキャプチャ(SC)画像をpicture archiving and communication system(PACS)へ転送できていなかったため,全装置においてSC画像のPACS転送を開始した.X線CT検査の線量は,RISから診断参考レベルが示されている部位の検査リストを出力し,SC画像を表示してvolume CT dose index(CTDIvol)およびdose length product(DLP)をMicrosoft Excelへ手入力して集計した.2016年3月には,医療被ばく低減施設の認定を受け,2018年4月に線量管理システムが導入された.2020年7月には,日本の診断参考レベル(DRLs 2020)が改訂された2).DRLs 2020と当院の線量との比較は,線量管理システムに収集されたデータを出力することで迅速に対応することができた.
線量管理システムは,バイエル薬品株式会社のRadimetricsと他社製の線量管理システムが2018年4月に導入された.Radimet-ricsは,DICOMタグ情報やSC画像から光学的文字認識で得られる情報を取得することが可能であるため,radiation dose structured report(RDSR)に対応していない装置に対しても線量情報を収集することが可能となっている.X線CT装置は,当院および関連施設を合わせると15台の装置が線量管理対象になり,2018年4月時点では,RDSR対応装置が8台,RDSR非対応装置が7台であった.RDSR非対応装置も含めてX線CT検査の線量を管理する必要性があると考え,Radimetricsの導入に至った.一方で,他社製の線量管理システムは,RDSRとRISから線量情報を収集するシステムとなっている.われわれは,2つの線量管理システムを使い分けて線量の記録および管理を実施している.
当院におけるRadimetricsは,主にX線CT検査で活用しており,診断用CT,positron emission tomography‒CT(PET-CT),single photon emission computed tomography‒CT(SPECT-CT),IVR-CT,および治療計画用CTの線量記録および管理を行なっている.2020年度のX線CT検査件数は,診断用CTで63,444件,PET-CTで2977件,SPECT-CTで422件,IVR-CTで118件,関連施設の診断用CTで4784件,合計71,745件であった.平日には,200件以上のデータ収集が行われているが,Radimetricsでは,十分に処理が可能となっている【Fig.1】.
当院は,検査件数がとても多く,Radimetricsの動作速度を高めるためにRadimetricsのバージョンを3.0にアップさせると同時にサーバーを増強した.
本稿は,Radimetricsをバージョン2.9からバージョン3.0へアップデートした使用経験および利点について報告する.
【Fig.1】1年間の検査件数
Radimetricsは,1日あたり200~300件の線量情報を取集している.2020年の秋頃からは,スライス厚5mm画像に加えて0.5mmあるいは1mm画像もPACS転送が開始された.このため,これまでのRadimetricsサーバー環境では処理が追いつかないくなったこともあり,バージョンアップと同時にサーバー環境を増強した.
X線CTの線量管理の前に
Radimetricsは,RDSR,SC画像,およびDICOM画像から線量情報を収集し,グラフの作成,臓器線量シミュレーション,線量アラート,および線量情報をワークシートへ出力することが可能となっている.初期導入時には,線量情報を検査部位や装置ごとに集計するために1ヶ月程度のデータ収集が必要であった.この期間中には,装置から出力されたRDSR,SC画像およびDICOM画像に記載されている情報が,線量情報を集計するにあたり適切な情報であるかを確認する必要性がある.RDSR対応装置は大きな問題がなかったが,RDSR非対応装置は,SC画像の出力形式を変更する必要性が発生した.診断用CTは,6台の装置が稼働しているが,装置ごとにプロトコル名の表記が若干異なっていたため,全ての装置で統一することとした.X線CT検査は,撮影範囲に応じてDLPが異なるため,撮影範囲とプロトコル名が合致するようにプロトコルを作成した.具体例を【Fig.2】に示す.
X線CT装置は,キヤノンメディカルシステムズ株式会社製のAquilionシリーズとシーメンスヘルスケア株式会社製のSOMA-TOMシリーズの異なる装置メーカー装置が稼働している.装置メーカーの違いによって,プロトコル名,およびAcquisition proto -colなどの撮影部位や範囲を特定するために必要な情報が異なるため,DICOMタグに記載されるシリーズディスクリプションへ撮影範囲や撮影時相を記載することで情報を補うこととした【Fig.3】.Radimetricsバージョン3.0において,シリーズディスクリプションがグラフ作成時のフィルタ設定時に複数を選択できるようになったため,旧バージョンよりも詳細なフィルタ機能を有している.
使用装置のプロトコル名等の修正が必要ないことを強調している他社製品も見受けられるが,Radimetricsにおいても,同様のことは言える.しかしながら,筆者は,元々使用されているプロトコル名が適切でなければ,プロトコル名の修正は必要となってくるのは当然であると考える.プロトコル名を適切に設定したとしても,撮影者が適切なプロトコル名を選択しなければならないため,X線CT検査に不慣れな方も含めて教育が必要となる.
【Fig.2】プロトコル名の変更例
旧プロトコル名 | 新プロトコル名 |
---|---|
胸腹部ルーチン | 胸部_骨盤 |
腹部ルーチン | 上腹部 |
上腹部_骨盤 | |
腹部ダイナミック | 上腹部2相 + 上腹部delay |
上腹部2相 + 上腹部_骨盤delay | |
腹部ダイナミック + 胸腹部delay | 上腹部2相 + 胸部_骨盤delay |
腹部 単純 + 胸腹部delay | 上腹部 単純 + 胸部_骨盤delay |
上腹部_骨盤 単純 + 胸部_骨盤delay |
旧プロトコルでは,「腹部」のプロトコル名で上腹部のみを撮影する場合と上腹部~骨盤を撮影する場合があったが,撮影範囲に応じて細かくプロトコル名を設定した.プロトコル数は増加するが,それぞれのプロトコルにシリーズディスクリプションを記載しているため,画像viewer上で撮影範囲を把握することができる利点もある.
【Fig.3】シリーズディスクリプションおよびAcquisition protocol情報の記載例
Chest Plane Chest Delay Chest_Pelvis PL Chest_Pelvis DE Abdomen Plane Abdo_Pelv PL Abdo_Pelv DE | Abdomen artery Abdomen Portal Abdo_Pelv A Abdo_Pelv P Coro Ca score |
シリーズディスクリプションおよびAcquisition protocol情報は,撮影範囲と撮影時相がわかるように記載した.シリーズディスクリプションは,DICOM画像のタグ情報も取得可能なRadimetricsにおいても利用可能であるため,複数相を撮影した検査の中から特定の撮影時相のデータのみを抽出する際に有用となる.
X線CT検査の線量管理方法
X線CT装置側の線量情報が適切に出力された次の段階として,Radimetrics上で各装置から収集された線量情報のグループ分けおよびプロトコルマッピング作業が必要となる.
プロトコルグループ分けの画面を【Fig.4】に示す.プロトコルグループ分けは,「.*」で区切ることで部分一致による階層分けが可能となっている.表記が日本語と英語が混在した場合でも複数の条件設定が可能であるため,初期設定時に設定を行えば,X線CT装置が更新された場合でもプロトコル名を統一しておくことで問題なく使用できる.新たにプロトコルが作成された場合には,新たに設定を追加する必要性があるため,定期的にプロトコルグループ分けを確認する必要性があるが,設定方法はとても簡単である.
プロトコルグループ分けでも十分に線量管理は可能であるが,マスタープロトコル設定を用いたマッピングがグラフ作成時のフィルタ機能や各プロトコルに対するアラート機能を用いる場合に重宝される.診断参考レベルと自施設の線量を比較する際には,診断参考レベルが設定されている検査とプロトコル名をマッピングし,装置ごとにマスタープロトコルをフィルタとして設定することで,装置間の差も評価することが可能である.
DRLs 2020が公表されるまでの各部位のグラフは,DRLs 2015に合わせて標準体重を50~60kgに設定していたが,DRLs 2020において標準体重が50~70kgへ変更されたことから,各部位のグラフにおける「目的の値と範囲」フィルタで体重の設定を変更した.
【Fig.4】装置プロトコルグループ
撮影範囲に応じてX線CT装置側で細かくプロトコルを作成し,Radimetrics側でグループ分けしている.例えば,上腹部の動脈相および門脈相を撮影し,遅延相で胸部〜骨盤,上腹部〜骨盤,および上腹部のみのパターンをそれぞれプロトコル名を分けて作成している.
Radimetricsバージョン3.0の主な特徴
Radimetricsバージョン2.9は,Adobe社のFlash Playerをベースにシステム構築されていたが,バージョン3.0はHTML 5を用いたプラットフォームが採用されている.また,新バージョンは,secure sockets layer(SSL)通信を採用することでセキュリティが強化されている.両者のバージョンは,ボタン配置やレイアウトなどの細かな点では異なるが全体的な使用方法は大きく変わらないため,バージョンアップ後に簡単な説明を受ければ問題なく使用できる印象である.バージョンアップ後も,プロトコルグループ分けやマスタープロトコル設定なども引き継がれるため,スムーズな移行が可能となっている.
バージョン2.9は,背景色に青系色が採用され,個人的にはとても眼が疲れる画面であったが,バージョン3.0では,背景色を白色とダーク色の2色からユーザー単位で選択可能となっているため,ユーザーの好みに合わせて画面設定が可能となっている【Fig.5】.グラフの色は,複数の装置,プロトコルを比較する際にも見やすくなっている.
【Fig.5】Aquilion CXLとAquilion PRIME Beyond Editionにおける胸部~骨盤1相のクラスタ化された棒グラフ
棒グラフは,50〜70 kgの体重群の中央値を示す.上段と下段は同じデータである.
ユーザーごとに背景色を変更することが可能である.
Radimetrics活用法の例
X線CT装置が複数台稼働している場合,装置の世代によって検出器の性能や逐次近似応用再構成などの画像再構成法の違いによって同じ検査部位,検査目的であっても線量が異なるのが実情である【Fig.6】.X線CT装置における線量は,画質を基準として設定されるべきであるため,各装置で線量を最適化するためにも線量の装置間差を把握することはとても重要であると考える.Fig.5にAquilion CXL(Version 4.8)およびAquilion PRIME Beyond Edition(Version 7.0)における胸部~骨盤1相のCTDIvolおよびDLPの中央値を月毎にクラスタ化された棒グラフを示す.グラフ上には,任意のラインを表示(本稿は診断参考レベルを記載)することができるため,自施設の線量を参考値と比較することが容易である.
【Fig.6】キヤノン社製X線CT装置における装置別の線量比較(胸部~骨盤1相,体重群50~70kg)
X線管電流自動露出機構の設定
(Aquilion 64, CXL, PRIME:SD=10(FC03,5mm),Aquilion PRIME Beyond Edition, SP / iEdition:SD=9(FC03,5mm)
X-Bar Sチャートは,月毎の平均値およびばらつきを表示することができる【Fig.7】.線量データを集計し,線量設定を変更した際に変更前後の線量評価が可能である.
【Fig.7】胸部1相におけるXbar-Sチャート
上段が平均値,下段が標準偏差を示す.いずれの月もCTDIvolおよびDLPの平均値はほぼ一定であるが,標準偏差にばらつきを認めた.
診断参考レベル2020において,X線CT検査の標準体格は,体重50~70kgと示されているが,散布図に体重をプロットすることで体重の違いによる線量評価が可能となる.しかしながら,救急症例などの検査時には,体重が不明なであることも少なくない.また,外来のフォローアップ目的の検査においても,X線CT検査前に体重が測定されているとは限らないのが現状である.Radimetricsは,AAPM report 204に示されているeffective diameterをDICOM画像から自動で計測することができる.われわれは,effective diameterが体重と強い相関を示すことから,X線CT検査の線量管理においてeffective diameterを体格指標に用いることができることを報告した3).体重とeffective diameter(患者の直径)の関係を【Fig.8】に示す.Fig.8(a)は,肺がんドックCT症例で検査前に体重が測定されているデータであるが,Fig.8(b)は外来CTの症例で検査前に体重が測定されているとは限らないデータである.しかしながら,effective diameterは,画像から算出されているため,検査時の体格指標として利用できると考える.胸部~骨盤1相におけるCTDIvolおよびDLPを体重およびeffective diameterに対してプロットした散布図を【Fig.9】に示す.Effective diameterを体格指標に用いることは,体重が記録されていない検査も散布図上に示すことが可能となることや体重の記録が実際の体重と大きく異なる場合の影響を除外することが可能となる利点がある.また,われわれは,Fig.8のようにあらかじめ体重とeffective diameterの関係から体重50~70kgに相当するeffective diameterを求めておくことで,診断参考レベルと比較する際にも利用できると考える.このeffective diameterは,現時点でDICOM画像を取得するタイプの線量管理システムで自動計算が可能であるため,Radimetricsが優れる点の一つの特徴と言える.
【Fig.8】体重とeffective diameter(患者の直径)の関係
a:肺がんドックCT症例のデータ 検査前に体重が測定されている
b:外来CTの症例 検査前に体重が測定されているとは限らない
体重が不明であったり正確性に欠ける可能性があるが,effective diameter(患者の直径)は画像から算出できるため,検査時の体格指標として利用できると考える
【Fig.9】救急X線CT装置(Aquilion PRIME SP / iEdition)における胸部~骨盤1相の飛散プロット(散布図)
横軸が体重の場合,体重が記録されていないとグラフ上にプロットされないが,横軸を直径にすることで全症例を対象とした外れ値の抽出が可能となる
当院の冠動脈CTは,シーメンスヘルスケア株式会社製のSOMATOM Definition Flashで検査されている.冠動脈CTの検査プロトコルは,topogramを撮影後にカルシウムスコア,冠動脈CT,および胸部遅延相をルーチン検査で撮影している.また,冠動脈CTと同時に大動脈CT angiographyを撮影する場合には,1回の造影剤注入で冠動脈の撮影後に胸部から骨盤腔の撮影が実施される.したがって,冠動脈の線量をDRLと比較するためには,一つの検査内で複数スキャンされた情報の中から冠動脈のみの線量を抽出することが必要となる.このような場合には,シリーズディスクリプションやacquisition protocol情報に記載されている撮影時相や撮影範囲を用いることで,冠動脈のみの線量を抽出することが可能となる.体重50~70kgにおける冠動脈CTのCTDIvolおよびDLPの箱ひげ図を(Fig.10)に示す.冠動脈CTは,患者の体格,冠動脈ステントの有無,冠動脈精査,経カテーテル大動脈弁植え込み術前計測,および心臓カテーテルアブレーション治療術前計測などの検査目的に応じてX線管電圧やX線管電流パルシングの有無が使い分けられている.これらのスキャンパラメーターの違いによる線量の比較は,Excel出力によって詳細に解析することができる.Radimetricsは,一つの検査内で複数スキャンされた場合において,動脈相のみで低管電圧撮影された線量情報を抽出するためには,「目的の値と範囲」フィルタでX線管電圧を指定することが可能であり,容易にX線管電圧の違いによる評価が可能となる.
【Fig.10】体重50~70kgにおける冠動脈CTのCTDIvolおよびDLPの箱ひげ図(288症例)
X線管電圧の違いおよびX線管電流のパルシング有無によって,CTDIvolおよびDLPは異なる.
CTDIvolおよびDLPのアラート設定方法を(Fig.11)に示す.体重とCTDIvolおよびDLPの散布図を作成し,体重が50kg未満,50~70kg,および70kgを超える三群に分類してそれぞれの90%タイル値以上の症例に対してアラートされるようにマスタープロトコルを設定している.閾値チャートは,閾値を超える症例をグラフ上の赤い領域で示し,この領域をクリックすることで簡単に閾値を超える症例を確認することが可能となっている.閾値を超えた原因は,一例ずつRadimetrics上で(c)のように画像を表示して,患者体位やスライス毎のmAsの変調ライン,撮影範囲等をそれぞれ調査している.
【Fig.11】CTDIvolおよびDLPのアラート設定方法(例:PET-CT)
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(a) 横軸に体重(あるいは実効直径)縦軸にCTDIvolおよびDLPをプロットした散布図
(b) 閾値チャート
(c) アラートの症例
PET-CTは,上肢を下ろした状態で検査している.
Radimetricsは,DICOM画像のアキシャル画像を取得することで,water equivalent diameterを計測することが可能となりAAPM Report 220に準拠したsize-specific dose estimates(SSDE)を算出することができる.SSDEは,モンテカルロシミュレーションの臓器線量と強い相関を示すと報告されており,今後の活用に期待される.Radimetricsは,SSDEをプロットしたグラフも作成可能であるため.X線CT検査における線量管理方法の研究としてもとても役立つソフトウェアである.
医療法施行規則の一部改正に伴う線量管理体制
2020年4月,医療法施行規則が改正され,診療用放射線に係る安全管理体制を確保することが義務化された.医療放射線安全管理責任者は,放射線診断科の医師が配置され,年4回の医療放射線安全管理会議を実施することとしている.医療放射線安全管理会議には,各検査における診断参考レベルと自施設の線量を比較したデータを報告している.X線CT検査における線量管理は,月ごとに各CT装置の中央値を確認し,CT検査室の診療放射線技師および放射線診断科医師のミーティングへ報告し,線量が多い場合には下げる方法について協議を行い,プロトコルの変更を検討している.
まとめ
本稿は,当院の線量管理システムの使用状況を紹介し,Radimetricsの活用法やバージョンアップに伴う利点を紹介した.線量情報の集計は,RDSRだけでなくDICOM画像から得られる情報も活用することができるため,シリーズディスクリプションを用いたシリーズ単位の線量評価やDICOM画像から計測されたeffective diameterやSSDEを用いた評価が可能である.Radimetricsは,RDSRやDICOMタグに含まれる情報を用いることができるため,X線CT検査における線量管理に関連した新たなデータや研究に大いに期待される.
本年には,X線CT装置が2台更新された.Radimetricsは,ダッシュボード機能を活用することで,新装置が導入されてもグラフの「機器」フィルタを変更することでこれまでの装置との比較も簡単である.最新のX線CT装置は,10年前の装置と比較して大幅に線量が低下しているが,一方で装置間の線量の差も大きくなったとも考えられる.CT検査室の診療放射線技師および放射線診断科医師が,密に連携をとり検査目的に応じた線量と画質を検討することで,さらなる線量の最適化に取り組んでいきたい.
参考文献
- 医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME):最新の国内実態調査結果に基づく診断参考レベルの設定.http://www.radher.jp/J-RIME/report/DRLhoukokusyo.pdf.(2015年6月7日).
- 医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME):日本の診断参考レベル(2020年版)http://www.radher.jp/J-RIME/report/JapanDRL2020_jp.pdf.(2020年7月3日)
- Fukunaga M, Matsubara K, Ichikawa S, et al. CT dose management of adult patients with unknown body weight using an effective diameter. Eur J Radiol 2021; 135: 109483.