東大和市の中核病院
地域医療を担い市の特定健診・保健指導なども実施している東大和病院は、病床数284床・23の標榜科目が置かれている東大和市内の中核病院だ。法人全体としては急性期から在宅診療まで幅広く行っている医療機関だが、東大和病院は特に急性期の患者さんを積極的に受け入れており、地域の2次医療機関として年間5,300件にも及ぶ救急車受け入れに対応している。
同院と附属のセントラルクリニックで保有しているCT3台とMRI2台で、1日あたり120件程度検査をしている。この検査を担当する診療放射線技師は20名で、2施設をローテーションで担当している。放射線科には救急外来と合わせて8名ほど看護師が配属されている。看護師は、CT検査をする前の造影剤のルート確保を、診療放射線技師はインジェクターと造影剤の準備を行う。このように患者さんに対応するのは看護師、機械の操作は診療放射線技師と業務が分けられている。
腹部で使用するプロトコルについて
現在、腹部造影検査で用いているプロトコルは8つある(図1)。内訳は、ダイナミックCT用と通常注入、特殊検査用、CTAで生理食塩水を使用するときと使用しない場合に分けられる。実際、ほとんどの検査は前述の8つのプロトコルで対応できている。
患者さんの体重を入力するだけで、推奨のプロトコルを示してくれるP3T機能(プロトコルの表示画面上にP3T表示があるもの)は、ほとんど修正・調整せずに検査が実施できる便利な機能だ。これは、研究施設とは異なり一般的な検査がルーティン通り誰でも行えるという当院のような一般施設にはありがたいと感じている。
他にも可変注入のプロコトル設定が容易になっており、内藤先生は「4段階可変注入をしているが、フェーズごとに細かなプロトコル設定できるのが大きなポイント」と語る。さらに、造影剤と生理食塩水の混合注入条件を、パーセンテージで入力できるようになったことも、操作性が向上したと感じているポイントになっている。
図1 プロトコル画像
オート機能の充実と大容量のシリンジ
ステラントCWSのオート機能には内藤先生だけでなく、診療放射線技師の三浦先生も太鼓判を押す。導入当初こそ他社製品と異なるシリンジ形態に戸惑ったことがあるというが、以下の点について、特に有用性を感じているという。
1. エアの混入を防ぎながら、生理食塩水をシリンジに自動充填できること
手動でエア抜きをしていると、急いでいる時などはエアが混入してしまうことがあるが、ステラントCWSに任せておくことで、そのストレスが軽減される。
2. ワンタッチで延長チューブ内のエア抜きができること
延長チューブ内のエア抜きは意外と手間がかかる。その間、準備担当者は、チューブから目を離すことが難しい。しかしながら、オート・プライム機能があれば、エア抜きの最中でも、患者さんに目を向ける時間の余裕ができる。
3. 大容量(200mL)の生理食塩水用シリンジが装着できること
例えば、同一患者で心臓CTと大動脈の精査を行う場合、それぞれの検査で生理食塩水を使用するため、150mL程度用意しておけば、足りなくなる心配がない。
図2 80歳代男性 膵頭部癌多発肝転移 P3T機能を用いた膵精査プロトコール動脈後期相 冠状断再構成画像
膵頭部腫瘍が総胆管に浸潤し上流胆管および胆嚢の拡張が認められる。右側では十二指腸への浸潤が疑われる。
4. ステラントCWSは、患者さんごとの造影剤注入データ履歴を本体に残せる点
そのデータを元にして、履歴の管理をしたり、電子カルテ、PACSへ転送することで次回の検査で応用できる。また、将来的には、これらの管理も義務付けられる時代になると予測され、履歴管理機能がついているのは高く評価される。
これらの機能を使いこなすことに、多くの時間は必要なかったという。
バイエル社製ステラントCWSの導入は今回が初めてということで不安はあったが、慣れると使いやすいという話を聞いて導入に踏み切った。実際に、生理食塩水を入れるシリンジの形状なども異なったが、生理食塩水の充填、エア抜きを自動で行うなど、人の手間を省く機能が充実しており、その分、検査に集中できることはメリットだと感じているという。
図3 操作の様子
内藤哲也先生
東大和病院
放射線科 技師長
大杉 圭先生
放射線科
科長
三浦幸司先生
放射線科
主任