幅広い造影検査を行う施設にオススメ!
Mark 7 Arterion
東海大学医学部付属 八王子病院
〒192-0032
東京都八王子市石川町1838
TEL:042-639-1111
FAX:042-639-1112
病床数:500床 診療科目:総合内科/循環器内科/呼吸器内科/消化器内科/神経内科/リウマチ内科/血液腫瘍内科/腎内分泌代謝内科/精神科 心療内科/小児科/小児外科/皮膚科/リハビリテーション科/病理診断科/消化器外科/乳腺・内分泌外科/呼吸器外科/心臓血管外科/整形外科/脳神経外科/泌尿器科/形成外科/産婦人科/眼科/耳鼻咽喉科/画像診断科/放射線治療科/歯科・口腔外科/麻酔科/救命救急科/循環器センター/消化器センター/脳卒中・神経センター/小児センター/オンコロジーセンター/血管撮影装置3台、CT3台、MRI2台、X線-TV4台(健診センターを含む)、一般撮影装置4台、リニアック1台、マンモグラフィ、パントモ撮影装置等。医師8名(うち非常勤1名)、診療放射線技師35名、放射線科専属看護師4名、手術室専属看護師6名、臨床工学技士3名。
外来看護師が放射線科専属として業務を担当
東海大学医学部付属八王子病院(500床)は東海大学4番目の医学部附属病院として2002年に開院した。30の診療科があり、それぞれが最先端の専門治療に取り組む。
放射線科に設置されているモダリティはCT3台、MRI2台、X線アンギオ3台、X線TV装置2台、単純X線撮影装置4台、放射線治療装置1台となっている。
放射線科のスタッフは医師8名(うち非常勤1名)、診療放射線技師35名、放射線科専属看護師4名、手術室専属看護師6名を擁する。
放射線科専属看護師は外来の看護師であり、カテーテル室や血管造影は手術室の看護師が担当している。オペ室の看護師が放射線科業務を専属で担当するのは珍しいケースだ。専属看護師が計10名というのも非常に恵まれた体制である。
診療放射線技師は2名体制で当直を務める。うち1名はアンギオを操作できる技師を配するが、例外的にアンギオを操作できない2名が当直の場合はオンコールで待機する。35名の技師のうちアンギオを操作できるのは12〜13名だという。
心臓と脳のアンギオはそれぞれの専門科で行うが、それ以外の部位のアンギオには放射線科が対応している。
松本先生は、「当院の放射線科は血管造影をかなり幅広い領域にわたって行っています。ほとんどの造影検査に対応できますし、まず断ることはありません。そこが大きな特徴ではないかと思います」と話す。
2台のアンギオ装置を1台のMark 7 Arterionで使用
同院で使用している血管造影用インジェクションシステムはMark 7 Arterion(以下、Mark 7)である。導入したのは2018年春。田島先生は導入の経緯について次のように話す。
「ステントグラフト治療を始めるにあたって移動型Cアーム装置を購入したのですが、それと同時にMark 7を導入しました。以前はMark Ⅴを使用していたのですが、Mark 7はアンギオ装置との連動機能に優れていて、より使い勝手が良くなりました。アンギオ装置は心臓用と頭部・腹部用の2台をそれぞれ隣接した別室で使用しており、これを1台のMark 7で使っています。統合型のペデスタルタイプなので、使用時にそのつど2部屋を移動してうまく使い分けることができています。Mark Ⅴに比べてコンパクトになっているので、室内での取り回しもとても便利になりました」
Mark 7導入と同時に始めたステントグラフト治療は2018年末までに20例に行われた。アンギオの施行件数は年間1,800件ほどで、うち放射線科で250件を施行する。Mark 7を使用するのは緊急の場合など月に15例ほどだという。
「心臓領域ではアブレーション治療によく使います。アブレーション治療では肺静脈造影のみで済むのでMark 7で十分対応できます」と診療放射線技師の田島先生は言う。
安全なシリンジ廃棄が可能なフロントロードシステム
Mark 7はプレッシャージャケットの前面側からシリンジをワンタッチで取り付けることのできるフロントロードシステムを採用している。この点について画像診断科医師の田島先生は次のように評価する。
「従来のインジェクターはシリンジを後方から脱着していたので、シリンジの廃棄作業の際に汚染されたシリンジ先端がシリンジカバーに触れることがありました。しかし、フロントロードシステムの場合、検査終了後はチューブを取り付けたままシリンジを外して廃棄できるので、接続部からの液だれもありませんし、汚染部分に触れずに操作ができるので血液感染のリスクがきわめて少なくなりました。シリンジ内の与圧を下げるために、ピストンを引く手順が不要となったのもフロントロードシステムの便利な点です」
片手で清潔を保ちながらシリンジとチューブを接続することが可能なTwist&Goシステムを備えている点も、Mark 7の大きな特徴だ。従来の機器ではチューブ固定用のローテータがシリンジ側に付属していた。その場合、チューブを支えた状態でシリンジ側ローテータを回転して固定しなければならず、両手での操作が必要だった。しかし、Twist&Goシステムはチューブ側にローテータが配置されており、これを片手で回転させることでシリンジと接続できる。
さらに、Mark 7ではエクステンションチューブに4種類の長さのものが用意されている。「長いチューブがあるのは、とくにステントグラフト治療では便利です」と田島先生。
使い勝手がシンプルなので機器が壊れにくい
同院ではインジェクターの準備は診療放射線技師の担当であり、機器の取り扱いに慣れるため一通りのトレーニングを行っている。だが、田島先生は「トレーニングにそれほどの時間は必要なくなりました。タッチスクリーン画面で操作手順が細かく示されるので、不慣れな新人でも機器の操作を早くマスターできますし、使い方に戸惑うこともなく安心感があります」と言う(図1)。
Mark 7はとくに使いやすさを重視しており、極力複雑な操作をしなくて済むように設計されている。
「Mark Ⅴもそうでしたが、使い勝手がシンプルなので機器が壊れたり、不具合が生じたりすることは全くありません」と田島先生は話す。一方、Mark 7に対して「注入量を小数点以下でも設定できるようにしてほしい」との要望も寄せた。
図1 Mark 7 Arterionのタッチスクリーン 手順の表示や直感的な操作により、慣れないスタッフでも扱いやすい。同施設では「マニュアルはヘルプを押してください」とシールが貼られており、わからない場合は、マニュアルに誘導する工夫がなされている。
幅広い検査に対応する施設にMark 7はお勧め
Mark 7では造影剤の注入条件をタッチスクリーンで簡便に設定できる。田島先生がよく行うのは「造影剤のフローレートの設定を変える」という方法。「とくに、カテーテルの挿入が浅い際に造影剤注入の立ち上がりを速く設定しすぎるとカテーテルが跳ねることがあるので、ゆっくりと立ち上がるように設定します。その設定が簡単にできるところが気に入っています」と言う。
最後に、Mark 7をどういう施設に勧めたいかを伺った。
「大きな病院でなくても、幅広い疾患に対応しているような医療機関に適しているのではないかと思います。検査室はそれほど広くないものの、造影検査の機会の多い病院でしょうか。オールインワンのペデスタルタイプのインジェクターは、広い検査室がなくても取り回しに高い利便性を発揮しますし、収納も容易です。コンパクトですから、あえて天吊り型にする必要もありません」(田島先生)
Mark 7はベッドサイドに配置することで、テーブルマウント型のように運用することもできるフレキシブルな仕様となっている(図2)。それぞれの施設の状況やニーズに応じた設置が可能である点は、導入にあたって見逃せないところだろう。
図2 ベッドサイドでの運用 ベッドサイドに配置することで、移動型でありながらテーブルマウント型のように運用でき、高い汎用性を誇る。先代機のMarkⅤと比較しても極めてスムーズな可搬性を、存分に活かすことが可能だ。
松本知博先生
東海大学医学部付属八王子病院
診療部画像診断科
田島隆人先生
東海大学医学部付属八王子病院
診療技術部放射線技術科