KVO機能を有効利用し、
安心と安全性を考えた造影MRI検査

KVO機能を有効利用し、安心と安全性を考えた造影MRI検査
KVO機能を有効利用し、安心と安全性を考えた造影MRI検査

厚生連 高岡病院

〒933-8555 富山県高岡市永楽町5番10号
TEL(0766)21-3930(代)
病床数:533床
診療科目:内科/糖尿病・内分泌内科/腎・膠原病内科/呼吸器内科/血液内科/総合診療科/感染症内科/循環器内科/消化器内科/腫瘍内科/緩和ケア外科/精神科/脳神経内科/小児科/外科/整形外科/形成外科/脳神経外科/胸部外科/皮膚科/泌尿器科/産婦人科/眼科/耳鼻咽喉科/放射線科/放射線治療科/麻酔科/歯科口腔外科/病理診断科/救急科。
CT3台、MRI2台。放射線科医師6名(常勤5名・非常勤1名)、診療放射線技師30名(MRI担当8名)、放射線科看護師9名(血管室専門3名)。


Spectris Solaris EP導入で正確性が向上

 27科の診療科と13の診療部門からなる厚生連高岡病院。病床数は533床を有し、救命救急センター、地域がんセンター診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センター、富山県DMAT(災害派遣医療チーム)指定病院など多種の指定を受けた富山県西部の基幹病院である。

MRI装置とSpectris Solaris EP
図1 MRI装置とSpectris Solaris EP

 佐伯幸弘先生によると「昨年度のMRIの検査件数は7,336件で、うち造影検査は2,431件と造影検査は全体の約3割を占めています」と説明した。Dynamic検査は796件と多く、2台あるMRIを使い、1日の予約検査数は27~28枠だ。「緊急などの依頼を受けると30件を超えることもあります」と吉滝和彦先生は語った。病診連携枠も午前2枠、午後2枠の計4枠を持ち、地域から信頼される病院づくりを心掛けている。

 バイエル社製MRIインジェクター「Spectris Solaris EP」を導入したのは2008年1月(図1)。それまでは担当看護師が手押しで造影検査を行っていたという。当時は手押しだけで十分だという認識があり、造影剤を押す力も経験で習得し、造影効果も均一だった。慣れた人だと2mL/秒までなら感覚で入れることもできたそうだ。だが、2000年の中頃から、撮像方法の高速化に伴い、kスペースのオーダーリング方法に合わせて正確に造影剤を注入することが求められるようになった。実際、注入のタイミングが少しずれるだけで、データが変化することも多くなった。

 丁度その頃から、手押し注入による造影効果の不均一を経験するようになり、「正確に造影剤を入れることが大切だ」ということで、インジェクターを導入することとなった。

安全性を考慮した造影検査の流れ

ルート確保を行う準備室
図2 ルート確保を行う準備室

「当院では、すべてのDynamic検査でオートインジェクターを使用しています。そのためのルート確保は、できるだけ室内に物品を持ち込まないようにすることと、持ち込む物品の確認も兼ねて、準備室(図2)で行っています。ルートを確保した後は、MRI室へ移動し、インジェクターに備わっているKVO(Keep Vein Open)機能を利用し、持続点滴で血管を確保した状態を保っておきます。ただし、転移性脳腫瘍の場合は、造影MRI検査のみ施行するため、前もって準備室で造影剤の投与を済ませ、MRI室へ移動してもらっています」と中川先生は話す。検査室のすぐ横に設置された準備室で、患者さんへのルート確保と検査時の注意事項の説明を終える。この準備室とMRI室の導線上に、MRI検査に関する注意喚起表示が複数掲示されており、安全面についてもの独自の工夫が伺えた(図3)。

入室に際しての注意事項がMRI室前に掲示されている
図3 入室に際しての注意事項がMRI室前に掲示されている
FluiDots®はシリンジが空の状態と内部に液体が充填されている状態とを容易に見分けられる
図4 FluiDots®はシリンジが空の状態と内部に液
体が充填されている状態とを容易に見分けられる

 さらに、中川正樹先生は「造影剤の準備およびインジェクターへの装置は看護師に任せていますが、最終確認は診療放射線技師と看護師で行います。特に、シリンジの空撃ちを防止するために、FluiDots®機能(純正品115mLMR用シリンジに装備)をチェックします(図4)」と、検査準備の完了をダブルチェックすることの重要性も強調した。

 また、着脱廃棄も看護師に任せることがほとんどだが、多忙な時は診療放射線技師が外し、感染・非感染に分けて廃棄ボックスに捨てているという。MRI検査を担当されるスタッフ全員の、安全性に対するならびに業務拡大に対する意識の高さが伺えた。

肝臓MRI検査の実際と生理食塩液の用量

 EOBプリモビストの検査手順を伺うと、「当院では、はじめに単純撮像を行い、そのあとでスマートプレップを用いてDynamic、その後、T2、Diffusionを、15分後にDelayで造影T1を撮像しています」とのこと。またKVO機能を利用し、検査前にルートを確保することで、検査のスループットの上昇につながっているとも。ただ、院内では50mLの生理食塩液パックの利用が推奨されているため、肝臓MRI検査の様に検査時間が長くなる場合は、生理食塩液の用量が足りなくなる不安もあると。「推奨されている生理食塩液の用量(50mL)では、Dynamic検査の後押しとして30~35mLを使用するので、残り15~20mLをKVOで使用します。大容量の生食シリンジを使用しているので生理食塩液の容量を増やしDynamic検査の質を高めることを検討する必要がありますね」と、今後の課題についても語った。

微調整に便利なソラリスのマニュアルノブ

微調整に有効なマニュアルノブ
図5 微調整に有効なマニュアルノブ

 MRIは組織分解能が高いため、ごく少量でも造影剤が体内に入ってしまうと造影効果が表れてしまう。「実際に、膀胱腫瘍の深達度診断において、造影剤シリンジをエアー抜きする際に、チューブ内に誤って入ってしまった造影剤によって、深達度診断に支障をきたしてしまった経験も少なくありません。非常に神経を使う作業になります。その際、ソラリスのマニュアルノブは、エアー抜きのピストン操作を微調整できるので、特に膀胱、尿管の検査では重宝しています。膀胱、尿管の検査ではソラリスを使用することにしています」と中川先生は話す(図5)。

コイル状スパイラルチューブの活用法

 バイエル社独自のコイル状のスパイラルチューブも適度な弾力があり、親指にチューブをかけて使用するとラインに装置が挟まる心配がなく、抜針を防ぎ、安全上とても良いですね」と佐伯先生は述べた。


中川正樹先生

中川正樹先生

画像診断部
技師課長

佐伯幸弘先生

佐伯幸弘先生

画像診断部
技師係長

吉滝和彦先生

吉滝和彦先生

画像診断部
技師主任

PP-M-SPE-JP-0003-31-07