よりよい検査と安心・確実な検査に貢献、
IVRセンターで活躍するAvanta
岡山大学病院
〒700-8558
岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-223-7151
病床数:849床(うち一般病床数813床)
総合内科/消化器内科/血液・腫瘍内科/呼吸器・アレルギー内科/腎臓・糖尿病・内分泌内科/リウマチ・膠原病内科/循環器内科/神経内科/感染症内科/消化管外科/肝・胆・膵外科/呼吸器外科/心臓血管外科/小児外科/整形外科/形成外科/皮膚科/眼科/耳鼻咽喉科/精神科神経科/脳神経外科/小児科/小児神経科/小児放射線科/産科婦人科/放射線科/救急科/病理診断科。IVRセンターには、心臓カテーテル用血管撮影装置4台、脳血管用DSA装置1台、IVR-CTシステム2台、OPEN-MRI1台。診療放射線技師52名、IVRセンターの看護師約30名(オンコール制)。
高度で低侵襲な医療を提供
2013年4月に岡山大学病院に総合診療棟が完成し、ハイブリッド手術室や高度先進医療を担う最新設備を備えた手術室が配置された。併せて、国立大学としては初の本格的なIVRセンターが設立され、最新の設備を有し、高度かつ安心な医療を提供している。IVRセンターには、心臓カテーテル用血管撮影装置4台などを始め、計8台の装置を有する大きな施設となっている。「当センターは、がん・総合部門、脳神経部門、循環器部門、小児循環器部門、麻酔部門の5部門から構成されており、それぞれに優秀な専門医が配置されています。さらに私たち診療放射線技師、看護師などのメディカルスタッフがそれぞれの部門をサポートしています」と大西氏はIVRセンターについて説明。日本血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師の認定資格を有するスタッフもおり、「このような資格を有していることは大切だと思います。特に心臓カテーテル検査では、診療放射線技師だけでなく、看護師、臨床工学技士の存在も重要な役割を果たしていますので、チームとして行っていかないといけない検査のひとつだと考えています」と大西氏は語った。
Avantaとの出会い
IVRセンターで治療・検査に関わる循環器内科の医師について「約20名の循環器内科医が、心臓カテーテル検査に携わっておられます。中にはPCI専門の先生もおられますが、当然PCIだけじゃなくて不整脈の検査や治療も施行されており、そちらが専門の先生方もおられます」と大西氏は述べた。2台ある循環器用心臓カテーテル用血管撮影装置は、1台がPCIをメインとし、もう1台はカテーテルアブレーションの不整脈治療などを担っている。
「循環器部門の件数は確かにのびていますね。IVRセンターができる前と比較すると、約1割増加していると思います。IVRセンターができる以前は、全検査合わせて年間およそ3,600件でしたが、いまでは4,000件くらいあります。そのうち、循環器部門の検査が1,400件くらいです。内訳は、不整脈が1日2例、診断やPCIが4、5例です。これからも件数が増えていくと思います」。
「Avanta」は同IVRセンターの完成とともに使用し始めているという。「AvantaはPCIや診断の部屋で主に使用しています。診断をはじめPCI、EVTなどで年間約800件の検査で用いています。Avantaの導入の決め手はセッティングが簡便であり、使いやすい点です。もともと、先生からは撮影装置の選定について要望がありましたが、インジェクタについてはなにもいわれていませんでした。実は、私も自動注入装置についてはあまり考えたことがなかったのです」と大西氏は語り、「しかし、他施設から、自動注入装置は画像のクオリティに影響し、より良い画像を得るには必要と聞き導入を検討しました。導入にあたり先生から、ラインを作ったり、セッティングをしたり準備は看護師や診療放射線技師が行うため、準備をする方が使いやすいものを選んでいいよ、とおっしゃって頂いたこともあり、その点を重視して選択しました。Avantaは縦型方向にラインをセットできるため、素早く準備できることが決め手になりました」と大西氏は導入のきっかけについて述べた。メーカからも同センターの仕様に合わせた提案などもあり、同製品の導入に至ったという。
ガイド表示で誰でも安心して使用できる!
「まずは、不都合なく使用できるところが良いです。特に、お気に入りの機能はセットアップガイドの表示です。この表示があることで、より安全で確実に使用することができています。新しく検査に入られる看護師・診療放射線技師にはこの表示を見せながら、セッティングについて教えられますし、私たちもこの表示を確認しながら安心して準備や検査を進めることができます。行うべき手順が必ず表示され、例えばピストンを下げるなど、それぞれのステップをクリアしていかないと検査も進められないので確実性も備えています」と大西氏はAvantaの有用性を挙げる。
さらに大西氏は特に有用性を感じている点として、シリンジを前方から装着したり外したりできる点を挙げた(図1)。「検査終了後に、前方からシリンジを外せるので、チューブを外さなくてもシリンジを取り外せるのは大変助かっています。従来はプレッシャージャケットからシリンジを装着したり外したりしていたので、チューブを外さないとシリンジも外せませんでした。チューブを外すと、造影剤が垂れてプランジャーやシリンジが汚れることがありますし、循環器内科の検査ですと、血液を引いているため、感染などのリスクも考えられますので、清潔を保てるこの機構は有用性が高いです。エアー抜きの際にも重宝しています」。
図1 フロントロードシステムで清潔かつ簡便な検査を
この構造は、同社の技術と工夫により、シリンジの前方に過剰な圧がかかり割れることもなく、新しい構造を実現するとともに安心して検査を行うこともできる。この構造はフロントロードシステムといい、血管造影用インジェクタMark 7 Arterion(バイエル社製)にも取り入れられている。
一方で、「全体的な取り回しはとても良いのですが、装置自体が大きいのが難点かもしれません」とも語る。「例えば、ペースメーカーなどのデバイスの留置時には、足元にデバイスの装置を置いたり、モニタの移動などもあるため、Avantaを寝台から外して検査をしています。また、Avantaを使用しない日は、寝台から外した状態で保管します。このように、装置を付け替える頻度は少なくなく、女性技師の場合1人では難しいです」。
ハンドコントローラで
手押しのような感覚をそのままに
「ハンドコントローラはシリンジを手で押しているような感覚で使えるのが特に良いと循環器内科の先生方はおっしゃっています(図2)。コントローラの持ち方も含めてシリンジを押しているような感覚を実現しているようです。生食フラッシュの時には少量ずつ注入するように手押しのようにコントローラで調節して先生方は造影剤を注入しています。この装置になって必要な造影剤量をコントロールできるので、一度に使用する造影剤の量は減っていると思います」と大西氏は医師も感じている「Avanta」の有用性を述べる。
図2 ハンドコントローラは持ち方も含め
てシリンジを押しているような感覚を実現
「あと、電源を落とさざるを得ない、もしくは落ちてしまったというときでもディスポーサブルセットを取り換えることなく装置をそのまま再開できるところです。電源が落ちることはあまりありませんが、稀にエラーが表示され、電源を落とすことがあります。エラーの原因として先生方にいわれるのは、三方活栓の部分が浮いてくることですが、このようなときに電源を一度落として入れ直してもそのまま電源を落とす前の状態から続けられます」と、もしもの時にでも復旧に時間を要さない点をポイントとして大西氏は語る。
正確な心内圧のデータの取得のために
心内圧データの取得については時々、鈍(なま)った波形が得られることもあるという。「圧を計測する部分のエアーが抜けていないときに鈍った波形が表示されると思います(図3)。常ではありませんが、そのようなときもあるので、デュアルラインチューブの接続部分はエアーをきちんと抜いておく必要があります」と使用に際する注意点も挙げ、「心カテで心内圧の測定は大変重要です。特に、小児の検査では、細かな心内圧の差を測定しますので、正確な圧表示をすることは重要です。当院IVRセンターでは小児の検査では『Avanta』を使用していませんが、使用することになれば、特に注意が必要で大きな課題になると思います」と大西氏は「Avanta」の課題も呈示しながら、多くの有用性について語った。
図3 心内圧データの例
a Avantaを使用したときの正常データ
図3 心内圧データの例
b エアー抜きが不十分な場合に起きる心内圧データ例
大西治彦氏
医療技術部放射線部門
IVRセンター主任診療放射線技師