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グリーンピース・スープを作るには
グリーンピースがいくついるか?

水をグリーンピース・スープに変えるには、あたりまえの話ですが、水1リットルにグリーンピース1つでは足りません。本来、造影剤の粒子を水に溶かしたものである造影剤(溶液)にも同じことが言えます。この場合も、造影剤分子と水から造影剤を作るのに、つまりX線検査でその効果を得るためには、実際に造影剤の分子は数個よりもはるかに多く必要です。

グリーンピース・スープを作るには グリーンピースがいくついるか?

つまり、そこそこの量の水に少量ではなく膨大な数の造影剤分子を溶かす必要があります。ここに最初の問題があります。ちょっと図2を見てください。左の写真は乾燥した造影剤原末(製剤原料イオパミロン®)ですが、右の写真に示すようなすぐに使用できる100mLの「300」濃度の造影剤を作るために、これを水に溶かさなくてはなりません。これは実にすごいことですね。(それだけの分量の砂糖を同量の液量に溶かすことは不可能でしょう。)

何十年もの間、これほどの高い溶解度は「純粋な」造影剤分子を使用せずに、造影剤塩を使用することで達成できたのです(非イオン性造影剤と呼ばれるものの登場まで。これについては後ほど詳細に見ていきます)。塩は水によく溶けますよね(海の塩全部のことを考えてみてください、かなり低い濃度で溶けているわけでありますが)。

図2.造影剤(左:原末の状態、右:製剤の状態)

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さて、塩とは何でしょうか、またどうすれば塩ができるのでしょうか。化学の授業で習ったことを思い出してください。塩(ここでわれわれが述べているもの)を作るには、水素原子(H)を取り除いて別の陽イオン、つまり同様に正電荷の粒子で置き換えればいいわけです(図3)。

造影剤では2つの陽イオンがよく使われます。ナトリウム(Na)とメチルグルコサミンの略のメグルミン(Megl)です。それでは、造影剤のナトリウム塩とメグルミン塩を区別できるでしょうか?

ナトリウム塩やメグルミン塩とすることによって、造影剤塩ができました。これは有用な造影剤溶液として必要な濃度まで溶かすのに十分な溶解度を持っています。

図3.造影剤:酸から塩へ

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しかし残念なことに、(造影剤)塩を使うと不都合なこともいくつかあります。化学の授業で習ったように、塩は、例えば生理食塩水(NaCl)などのように、溶液中では電離、つまり分解して、正電荷を持つ陽イオンと負電荷を持つ陰イオンに分かれてしまいます(生理食塩水ではNaとCl)。

造影剤塩の場合、正電荷粒子はNaまたはMeglで、負電荷粒子は残った酸基と、これに結合しているベンゼン環、そこにあるヨード原子と置換基です。この負電荷粒子の中にあるヨード原子、これがX線のコントラストを作り出すものであり、そのために不可欠なものです。

造影剤塩が「解離してバラバラになる」という事実は、2つの重要な帰結をもたらします。

溶液中の造影剤分子は電離してイオンになるため、電荷を持ちます。また、

電離することにより、溶液中の個々の造影剤塩分子は2つの粒子にわかれます。

2つの粒子とは、正電荷を持つ陽イオンと負電荷を持つ陰イオンであり、基本的には造影効果を有するヨードを持つベンゼン環です。

このタイプの造影剤は溶液中で電離してイオンになることから、イオン性造影剤と呼ばれます。典型的な例は、アミドトリゾ酸ナトリウム(またはアミドトリゾ酸メグルミン)で、以前は広く用いられていたものです。

復 習


造影剤は高濃度溶液です。長い間(詳細はまた後で)、造影剤塩が使用されてきました。多くはナトリウム塩かメグルミン塩ですが、これらは必要な高濃度溶液をつくるのに十分な溶解度を持っています。しかしこれらの造影剤塩は溶解すると、正電荷を持つ陽イオン、つまりナトリウムまたはメグルミンと、負電荷を持つ陰イオン、つまりコントラストをつくるのに必要な粒子の、2つに電離します。
溶液の中でイオンに電離するタイプの造影剤はイオン性造影剤と呼ばれます。
このようなイオン性造影剤の使用は過去数十年で劇的に減少し、いわゆる非イオン性造影剤に広く取って代わられました(下記参照)。しかし、イオン性造影剤の発達や副作用に関する知識は造影剤全体を理解する上で役立つことから、本書では多くの箇所でこれらについて取り扱っています。